-
物流ニュース
繁忙期なのに「帰り荷」がない…あちこちで物量減少
2008年12月15日
「繁忙期」であるはずの年末にもかかわらず、物量減少があちこちで聞かれる。「トラックが足りない」と傭車確保に走る光景はほとんど見られず、輸送産業でも買い手市場が進んでいるようだ。「年末は何とかしのいでも年明け以降がむしろ大変」。荷動きの停滞は長期化するとの見込みから、経営者は一様に不安の色を濃くする。
「12月1日、関東方面からの『帰り荷』がないといわれた。年に1度あるかないかのことが、年の暮れに起きるなんて」と、大手出版取次会社の荷主を持つ兵庫県内の運送事業者は「物量減少」について話す。
「帰り荷」とは言っても出版物は、配本と返本の往復両便があり、関東方面からの便は事実上の起ち便。受け取る運賃も相応の差があり、「帰り荷」がなければ採算が合わない。それでも次の返本便があるため、トラックは空荷で帰った。
「物量減少」について経営者は次のように分析する。「出版物の量が目に見えて減少している状況には見えない。むしろ、車が余っていることからくる仕事の取り合いがあるようだ」。車が荷物を求めて玉突きを起こす。「繁忙期」を迎えた師走の初日からこうした現象が起きている。
農産物輸送などを地元農協から請け負う別の運送会社は、肥料などの輸送量が落ち込む「物量減少」を指摘。輸入食品への不信感の広がりから、国内農業には追い風が吹いているとの見方もある一方で、運送会社によると農業の担い手そのものが減少している状況が、この農協が所管する地域にもある。農業生産法人の参入などがこの地域でも聞かれるが、耕作面積が減少しているとの地元のうわさも耳にしている。農業の構造変化も、地元の運送会社には大きな影響を与える。
別の雑貨輸送の会社は、大手から専属で請け負う仕事内容が最近変わった。これまで輸送していた自動車の内装材メーカーからの荷物が止まったためだ。「自動車業界が相次いで減産に向かうとの情報が、ここでも表れている」。(西口訓生) -
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ