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物流ニュース
緊急事態宣言で交通の遮断は 憶測に揺れる運送事業者
2020年4月17日
新型コロナウイルスの確認感染者数の増加が続く7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法32条で定める緊急事態宣言が出された。特措法には、緊急事態宣言が出された場合でも市民の行動制限に関する記載はないが、「指定公共機関」(2条6項)に「義務」(3条5号)を課すことで事実上の市民生活への制約が出てくる可能性が同時に読み取れる。「生活と経済のライフライン」を標榜するトラック運送産業には今後、コロナウイルス禍で、どのような局面が出てくる可能性があるのか。「諸外国で行われている『ロックダウン』(都市封鎖)のような施策とは異なるもの」(政府対策本部が7日に改定した基本的対処方針P12)と、ロックダウンは今のところ否定されるが…。
緊急事態宣言が出された場合の行動の制限について、「ロックダウン」や「都市封鎖」といった言葉とともに憶測が飛び交ったのが、エイプリルフールを挟んだ3月末から4月第一週だった。
「トラック輸送は、少なくとも経済活動にとっては全ての輸送が必要性のあるものだと思う。しかし、緊急事態のもとで『不要不急』を控えろと言われると、どこまでが、その対象か」。雑貨輸送の神戸市内のトラック運送事業者は3月下旬、取材に、そう答えた。運ぶものは、少なくとも衣食住に該当するものではない。
特措法上の「緊急事態措置」下では「感染を防止するための協力要請等」(45条)として、「都道府県知事は(中略)住民に対し、(中略)生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅またはこれに相当する場所から外出しないこと(中略)を要請することができる」と定める。よく言う「不要不急の外出の自粛」と呼応する条文だが、「生活の維持」については法に定めはなく、仕事や経済を動かすための活動が制限される根拠は、特措法にはない。トラックが、どのようなものを輸送しているかを問わず、輸送そのものが制限される可能性はないと考えられる。
不特定の人との接触もありうるトラック物流の現場だが、特措法はむしろ運送力の確保を求めている。特措法53条は「運送、通信及び郵便等の確保」として、「貨物の運送を適切に実施するため必要な措置を講じなければならない」と定めがある。
もっとも、この条文は特措法に定めのある「指定公共機関及び指定地方公共機関」に関するものだ。トラック運送事業者の指定公共機関は、国内大手5社(佐川急便、西濃運輸、日本通運、福山通運、ヤマト運輸)。それぞれが特措法に基づいて「新型インフルエンザ等対策に関する業務計画」を定め、公表している。
また、各都道府県知事からは指定地方公共機関として、各トラック協会が指定を受ける形だ。5社及び各トラック協会は、特措法54条「緊急物資の運送等」に定められる「新型インフルエンザ等緊急事態雄措置の実施に必要な物資及び資材の運送」にあたることとなる。
では、緊急事態措置のもとで物流が制限を受ける可能性はゼロなのか。現在、指定公共機関または指定地方公共機関には高速道路会社各社は含まれていない。もっとも特措法2条には「公益的事業を営む法人で、政令で定めるもの」が指定公共機関になりうるとされる。
広域的な人やモノの動きが新型コロナウイルスの感染拡大に影響を与えていると判断されれば、必要最小限度の範囲で指定公共機関に指示が出せることも特措法33条に記載がある。
ある関係者は「高速道路はおろか、国や自治体の管理する一般道も通行止めをする可能性がゼロではない」と指摘。そうした危惧の指摘は、政府に「前例」があるからだ。特措法とは別の「感染症予防法」は33条で、「交通の制限又は遮断」を定める。「都道府県知事は(中略)病原体に汚染され、または汚染された疑いがある場所の交通を制限し、または遮断することができる」とだけある。
この条文は、エボラ出血熱など同法令で定める「一類感染症」に対して適用されるものだったが、3月末、新型コロナウイルスも一類感染症として指定を受ける政令の改定がなされた(写真)。
つまり、新型コロナウイルスに汚染された地域と認定されれば、交通の制限や遮断がありうることになる。
こうした事情を踏まえ、あるトラック事業者は、「感染拡大を防止するために本当に必要な措置ならば制限もやむをえないが…」と施策に理解を示しつつも、複雑な表情で話す。
いわゆる「都市封鎖」的な措置がとられたとすると、その物流業務が滞るという意味で一義的にはトラック運送事業者が右往左往することは間違いない。しかし、その滞りは、回りまわって市民生活全般に影響が出ることでもあるのは明白で、よもや物流が滞るということはないと考えるのが一般的だ。7日改定の基本的対処方針では「物流・運送サービス」は社会の安定の維持のため、国防に必要な製造業や金融などと並んで「最低限の事業継続」が要請されてもいる。
今回は特措法並びに感染症予防法を読み、「しかしそれでも、感染を防止する必要がある」と判断されたときの、一種のシミュレーションをしてみたに過ぎない、ともいえる。
新型コロナウイルスの感染や重症化する人が拡大しないためには打てる手は全て打つほうがいいのは明白。しかし同時に、交通遮断のような前例を不用意に作ってしまうのはいかがか。
トラック物流はライフラインーー。それを標榜するトラック産業の縁の下の力持ちぶりを発揮するときでもあり、また、市民生活を守りながらの必要最小限度の規制とは、どのようなものかといった提言もこの際、積極的に発信していくべきときではないか。特措法上の要請により休業を余儀なくされている飲食や娯楽など多くの産業と比したときのありがたさを感じながら…。
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給料を上げてくれないとできない❗
何を言っているのかな?と言いたくなる事案です。
今まで通りの運賃ではやりたくないし、宇佐美などのシャワー完備のスタンドのシャワーが使えないのに衛生環境の維持と社会基盤の維持っておかしくありませんか?海外みたいに国で運転手の給料を最低でも月に40万円の保障してください。それができないのであれば、おかしな要請に応じないで欲しいと言いたくなりました。
そこまでしなくてはいけないのか?コロナウイルスも運搬みたいな悪口も言われるのに意味がわからない。
一回止めたらよい
ドライバーに対してきた態度改めろ
人がいないとか言う割にまだわからないみたい
待機も付帯作業もへらない
ホワイト物流企業はドライバーを苦しめるだけの会社
皆さんの仰る通りで一度、一時的に物流を止めてみたらどうかと?現代社会で勘違いをしている人間が政府官僚も含め多すぎる。
物流ありきの生活をしている事に気づいていない。製造→物流あっての生活じゃないのか?
この重大な状況であるにも関わらず 自社だけ 良い思いを しようともくろんでる 昭和生まれのおじさん管理職の方々 輸送サービスとは会社の 金儲けではなく 社会的貢献だと思うが… お上には 逆らわず!ひたすら 自己保身の為に 責任だけを部下に押し付けて利益追求してきた結果が この有様だと思う。もはや 物流崩壊してるから 低脳の 皆さんが いくら頑張っても止められません 賢明な経営者の皆さん 一般社員の首切る前に 無能な管理職の首を切ることを お勧めします。YESマンは 要りません!
田舎の大手には客のご機嫌取り野郎のせいで利益が全く出ない会社があります。
そんな会社は消えて欲しい。
九州なんて、大型トラックでも手取り20マンちょいの所なんてざらだぜ?
阿呆らしい
明日から朝のアシスト削減?コロナにかかる前に、仕事に追い詰められて、過労死?政府方針、、?会社は良い顔してもね
田舎の大手には客のご機嫌取り野郎のせいで利益が全く出ない会社があります。
そんな会社は消えて欲しい。
色々ご意見が出回っていますがやはり運賃形態を全体に上げていかなければ何も変わらないと思います。
国民が運送業に対して見下してる感も非常にあります。
駐車違反の問題も駐車しなければ物は運べないし引越なんかは1時間2時間ははかかるのですから駐車場がない状態なら路駐は仕方がない。十分通れるのに文句言う人達はホント自己中その者。
届け出を出せば駐車可能にはなるがそれも県外となったり緊急となればそれも不可能。
運送業特例でどこでも駐車可能になる法律でも作ってもらいたいものです。
また、国も事故が起こるのは教育や無理な配車にあると思って道交法の改正をどんどん厳しくなされているがそこではないと思います。
運送業全体が豊かにならなければドライバーの福利厚生や給与は良くはならないと思います。
まあ、価格競争が激しく価格破壊を起こす企業側の責任は重いのですが今更そこを突いても仕方がないのでそこを法改正で運送業に潤いを与えてほしい次第です。
この機会にもっと運送業の重要性を国も国民もが考えなければならない時期に来ていると思いませんか?