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物流ニュース
新型コロナ感染拡大 商習慣にとらわれずできる限りの対策を
2020年4月20日
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、政府は4月16日に特別措置法に基づく緊急事態宣言を全都道府県に拡大した。感染拡大防止のために全国で在宅勤務、外出自粛などが行われ、在宅率が高まるとともに、ECやデリバリーの利用が増加し、宅配需要は拡大している。だが、こうした状況も、宅配ドライバーがいてこそ成り立っている。彼らを感染症から守らなければならない。
新型コロナウイルス感染症は現時点で、飛沫感染と接触感染の2つが考えられている。感染予防として最も有効といわれているのが、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒と、人混みの多い場所を避けること。
宅配ドライバーが感染から身を守るためには当然、こまめな手洗いや消毒が有効だが、置き配や宅配ボックスなどを利用してお客と接しないことも有効だ。だが、ほとんどの場合、お客と接しなければならない。
感染予防としての効果よりも、拡散予防効果があるとされているマスクだが、お客と接する際に、全く無防備でいるよりは感染リスクを減らす可能性があり、なによりもお客に安心感を与えることができる。
少なくとも、現状で宅配ドライバーがとれる感染予防は、マスク着用とこまめな手洗い並びに消毒である。だが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いマスクが品薄となっているため、入手困難な状況が続いている。
マスクが入手困難な状況について、日本衛生材料工業連合会(高原豪久会長、東京都港区)は、「需要(店からの注文量)が供給量の3~5倍程度あるとメーカー情報で聞いている」とし、「花粉のピークとコロナ予防のニーズが重なっているのも原因」と考えている。
「ただ、最近ではメーカーの納入回数が増加傾向なので、地域差はあるが店頭での登場回数も増えているが、瞬間的になくなってしまう状態」とし、「コロナ感染の環境が落ち着く気配がない状況では、マスク不足が解消される時期は予測できない」としている。
このような状況に、総合物流事業を展開し、宅配ドライバーも抱えているエヌズ・ゲーム(長谷川義勝社長、神奈川県横浜市)では「ドライバーを守るため、早くからマスクを配布して着用を義務付けている」とし、「荷主からもマスクの着用については強くいわれている」としている。
同じく宅配ドライバーを多く抱えているエアフォルク(千葉県松戸市)も早くからマスク着用をドライバーに義務付けている。井上貴夫社長は「マスクのメーカーとお付き合いがあることもあって、今のところドライバーに渡すマスクは確保できている」という。
一方、感染防止にさらなる対策を講じている軽貨物配送業のケイソー(同柏市)の伊藤淳社長が「コロナ感染対策として早くから、マスクや消毒液などを大量に購入することができたので、所属するドライバー全員に不足することなく渡している」と話す。
「マスクと消毒液が品薄になって需要が高まっているため、購入費用は高くなっているが、ドライバーとお客さんをコロナから守るためには、高額でも買いそろえなければならない」と考えている。
また、同社では現在、フェイスガードの導入を進めている。「日本の商習慣から、フェイスガードを装着したまま、お客様と接することや仕事をすることは、どちら側にも抵抗があるとは思う」としながらも、「非常事態だからこそ、全ての人を守るためにもできる限りの対策を行う必要がある」としている。
フェイスガードの導入については、食品輸送を中心に軽貨物や一般貨物などを行っている、しげまる(長谷川茂社長、愛媛県松山市)なども検討しているという。フェイスガードはマスクとともに、物流業界で飛沫感染を防ぐためには有効で、注目されている。
日本ではこれまで、商習慣や一部の顧客によって、マスクを着用したままの接客や応対、作業を「良し」とはしなかったが、感染拡大に伴う緊急事態宣言をうけて、状況は変わっている。
スーパーマーケット(SM)業界も4月14日、お客の「食生活を守るライフライン」として事業継続を行うために、従業員のマスク着用やお客にもマスク着用を促し、感染防止で安心・安全な買い物空間を共有するための協力を訴えている。
お客に不快な思いをさせるのは問題だが、ウイルスを感染させる方がはるかに問題なのである。SM業界でも訴えているように、状況はすでに商習慣を守ることよりも、感染防止、全ての人の安全安心を守ることの方が重要だと考えるようなっている。
お客やドライバーを守るためにも、物流企業も率先して、商習慣にとらわれずに、可能性があると思われるものを採り入れ、効果があると思うことに取り組まなければならない。
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