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物流ニュース
バンテック 自社開発のTMSで効率化を実現、独自の配車システムも開発中
2020年8月26日
バンテック(西澤正昭社長)では、「空気」を「運ばない」効率的な輸送を行うために最新技術の活用を積極的に進めている。その中核を担っているのが、独自に開発したTMS(輸配送管理システム)である「モバイルTMS」だ。モバイルTMSはiPhone(アイフォン)またはAndroid(アンドロイド)で使用できるアプリケーション。従来はアナログ手法で管理していた運行状況や積載率をデジタル化することで、走行車両の位置、積載状況などの計画と実績を可視化することができる。既存のシステムを導入するのではなく、自社開発とした理由もこの可視化を実現するためだった。
どんな荷物を積んでおり、どこを走っているのかわからないことが課題だったという同社。市販の運行管理システムは動態管理が中心となっており、同社のニーズを満たすことは難しかった。大幅な改良が必要となりコストも跳ね上がってしまうことから自社開発に踏み切った。
2017年2月に横浜からトライアルをスタート。現在は自社車両に加え、100台ほどのパートナー企業の車両にも導入されている。
リリース後もブラッシュアップを重ね、内容の充実を図ってきた。荷室内の様子はドライバーが写真撮影し共有しているが、自動で撮影するための技術についても研究されている。すでに2Dでの撮影には成功しており、現在は積載量を測るために必要な立体的に空間認識する技術の開発に進んでいる。モバイルTMSの導入によって、時間や荷量などの運行状況が可視化されたことで、積載率の向上や輸送の効率化を実現することができた。その効果は効率化だけにとどまらない。安全面では、荷物の状態がわかることで貨物事故の防止や原因の究明にも役立っている。さらに、積載率向上によるCO2の削減、運行実績データを元に荷主と交渉することで、荷待ち時間の短縮を実現するなど、副次的な効果も生んでいる。同社競争力強化本部の黒岩純二担当部長は「可視化されることで問題点が認識される」と指摘。効率化に向けて荷主の意識改革を促すことができる。
現在、同社のシステム開発は次の段階に駒を進めている。
運行実績を可視化するモバイルTMSに加え、より川上の領域にあたる「配車」の分野でも研究が進められている。独自の配車システムについても開発中で、今年度中には既存システムをリプレースし、機能の拡充、適用範囲を拡げていく予定だ。同社ICT強化推進部の石塚健二部長補佐は「自動配車の分野についても将来的な目標としたい」と話す。
将来的には、モバイルTMSのほか、開発中の配車システム、輸送網の空きスペースを活用する「スペまち」、バース管理システムなどの連携をはかり、物流向けの総合ソリューションとしてパッケージング化していく計画だ。
◎関連リンク→ 株式会社バンテック
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