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    「残業300時間でうつ病に…」労災防止、早めの対応を

    2009年7月10日

     
     
     

     国交省が発表した2008年度の自動車運送事業の交通事故要因分析報告書によると、トラック事業者の交通事故件数は3万2005件。そのうち「過労運転」が原因とされる交通事故は18件だけだった。過労運転は本当に減っているのだろうか。


    「昨年末から派遣労働者からの相談が増えており、メンタル面の相談も増えている。特にパワハラなどが顕著。一方で長時間労働、サービス残業などの問題が、運送事業に従事するドライバーに残っている」と話すのは、京都労災職業病対策連絡会議の芝井公事務局長。定期的に行う電話相談では運送業からの相談も少なくない。
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     「トラック運転中に脳内出血を起こして労災認定されたが、サービス残業分を認めてもらえない」「宅配業で長時間労働の結果、脳出血を起こして死亡した」「1か月に100時間程度の時間外労働の結果、精神疾患にかかって通院。職場はタイムカードによる管理をやめた」ー。芝井氏は「時間外労働で、250時間超のドライバーが脳梗塞で死亡した例も」と話す。
     横浜では残業が300時間を超え、うつ病にかかったドライバーが、運送会社と元請けに1億1000万円の損害賠償を求めて提訴した。厚生労働省が示す過労死ラインは月80時間。芝井氏は「相談する人は氷山の一角。日本人には『耐えるのが美徳』の考えを持つ人が多い」と指摘する。
     全国過労死を考える家族の会の寺西笑子さんも「勇気を出して、一歩を踏み出して欲しい。何もせずに『クサイものにフタ』では浮かばれない。人一倍頑張ってきた人だからこそ、まずは相談を」と訴える。寺西さんは過労死が発生した企業名の公表を求めて弁護士とともに大阪労働局に情報公開を請求した。
     「社名を公表することによって、企業が積極的にコンプライアンスに取り組むはず」という寺西さん。芝井さんも「労災を発生させない職場づくりが大切だが、取り組めるのは超大手ぐらい。個々の労働者も積極的に取り組んで欲しい」と話す。社名の公表について京都南労働基準監督署では「守秘義務の問題もあり、個人情報を出すことによる混乱を避ける目的もある」(一瀬俊宏課長)としている。
     労災防止は今後、運送業界の重点問題になることは確か。中小・零細企業が多い運送業界だからこそ、早めの対応がのぞまれる。(小西克弥記者)

     
     
     
     

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