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    扱い方次第で大きな事故に カゴ車事故に注意喚起を

    2020年12月28日

     
     
     

    物量が増える年末は、カゴ車による事故発生の可能性が高くなる。先月、札幌のドラッグストアで、トラックからの荷下ろし作業中に、水や酒類が積まれていた数百キロのカゴ車の下敷きとなり、56歳の男性ドライバーが死亡した事故が起きた。効率よく大量の荷物を運ぶことができるカゴ車は、多くの現場で活用されているが、扱い方次第で大きな事故につながるため、注意と対策が必要となる。

    国の労災統計に区分が無く、カゴ車による事故としての統計がとられていないため、労働安全衛生総合研究所が、2006年に起きた休業4日以上の労災データから抽出調査をした14年前の資料になるが、ロールボックスパレット(カゴ車)に起因する災害で約4割と最も多かったのが「カゴ車の転倒・転落による下敷き」だった。

    こうした事故は、14年経った今でも、100%無くなるという状況にはなってはいない。人手や現場の状況など、事故発生には何かしら原因がある。そこで、カゴ車の事故を発生させないために、カゴ車を活用している事業者がどのように取り扱い、どのような事故防止対策を取っているのか話を聞いた。

    宅配事業を行っている大手物流会社のヤマト運輸(栗栖利蔵社長、東京都中央区)では、多くのカゴ車が使われている。カゴ車の事故について同社では「移動中に足をひっかけてしまったり、カゴ車を持つ手を柱や壁にぶつけたり、組み立て中に指を挟むといったことが多く発生している」と話す。

    こうした事故は、同社に限らず、カゴ車を活用している現場ではどこでも起きているような事故ではあるが、事故にあった人へのダメージは決して小さくはない。このような事故は、ボックスの移動が多い状況や、並び替え作業中に発生しやすくなるという。また、物量が増加すると事故も増加する傾向にある。

    カゴ車を扱う場合に注意していることとして、同社は「作業マニュアルを整備し、手順書の作成等により安全作業の標準化を進めている」とし、「カゴ車の定位置管理徹底や動線を明確化し、移動時の接触を防ぐほか、荷下ろし時や1人で動かせないときなどは、複数人での作業を徹底している」という。

     

    食品物流を手掛ける北王流通(黒田英則社長、東京都北区)ではこれまでに労災になるようなカゴ車事故は起きていないが、5、6年前くらいの仕事量が多かった頃は頻発していたという。指や足を挟むということもあったが、荷崩れして商品を壊すという事故もあった。

    管理本部長の及川幸雄氏は、「忙しくなるとカゴ車のロックをしっかりとかけないまま荷積みして、そのカゴ車を引いたときに荷崩れを起こして事故になるパターンが多いほか、冷凍庫など段差や傾斜のあるところではつまづいたり、カゴ車が傾いたりするので事故が起きやすい」としている。

    事故防止対策については、「タイプの違うカゴ車の使用方法や荷物の積み方など基本的な指導を行い、危険だと思う部分に関しては複数人で作業することを徹底している」としながらも、「倉庫で働く人は素人が増えているので、効率ばかりを求めず、安全を優先して作業に努めてもらっている」という。

     

    倉庫事業をメーンに地域密着のロジスティックスサービスを提供しているライフポーター(千葉県浦安市)では、徹底した安全対策により、事故ゼロを実現している。

    八反田大作社長は、「弊社では7~8割ほどカゴ車を使っているが、カゴ車の事故については、庫内よりもトラックへの積み込み時に起きることが多い」とし、「大型のトラックになるほど積載効率を考えて、積み込みが多くなるためカゴ車が重くなり、不安定になるので危険度が高くなる」と話す。

    「カゴ車の事故は、段差や傾斜、重さによるものだけでなく、空の状態でもバランスが悪くなるので事故の危険がある」とし、「事故を無くすためには、マニュアル通りに使うことが一番だが、危険な状況になった場合は逃げるしかない。荷物を守るより自分を守るようにと指示している」という。

     

    現場では、荷量が多く限られた時間で作業しなければならないタイトな状況でカゴ車事故が多く発生している。そこで、こうした事故を防止するための対策についても改めて話を聞いた。

     

    手袋必須 マスク着用時には注意が必要

     

    労働安全衛生総合研究所・リスク管理研究グループ上席研究員の大西明宏博士は、「転倒の際、荷物を守ろうと、とっさに下に入って支えようとしてしまう方は多い。カゴ車の最大積載量は小さい物でも300キロはある。1人で100キロを超える重量を支えるのは無理」と語る。

    加えて「年末の繁忙期は作業に不慣れな非正規労働者に頼る事業場が多く、手足の接触事故などの危険性が増す上、今年はコロナ対策としてマスクの存在が気がかり」とし、「声が通りにくく顔の認識が相互に困難となるので例年よりもコミュニケーションは困難。注意喚起の声かけや緊急時の警告など管理者の方は一層の注意が必要」とする。

    同氏はこうした事故要因を背景に、「まず手足の接触対策や滑り止めとして手袋は必須」とし、続けて「装備の重要性だけでなく重たいカゴ車を意図した通りに停車させることの難しさ、僅かでも傾斜があると直進させにくいなど実際に操作しなければ分からないことは多い。いきなり現場に出すのではなく、何故、どのようにカゴ車を扱うべきなのかを伝えてから現場へ」と話す。

    転倒についても「事前の説明から、重量があり運べないケースは周囲からの声かけや自己申告できる体制を作り、下敷き防止に向けて転倒したものを支えないよう認知させられる」としている。

    なお、同氏は、「年末繁忙期にはドライバーも、急ぐがあまり荷台からカゴ車を引いて転倒に巻き込まれる事故と、完全にパワーゲートが降りきっていない状態からカゴ車を下ろし、カゴ車の重量でたわんだゲートから離れた反動で跳ね上げられ転倒、巻き込まれる事故が懸念される」とし「ドライバーの皆様にはカゴ車はゲートに向かって押して運ぶこと、ゲートを下げる時は完全に接地するよう、接地後も3秒スイッチを押し続けるなどの対策を勧めたい」としている。

     

    陸災防では定期的に開催されている全国規模の取組期間のキャンペーン、各県支部での研修会に加え「ロールボックスパレットの安全作業ハンドブック」やテキストを展開し、事故防止につながる情報の普及を続けている。

    テキストにはゲート車での積み降ろし時など、ケース別に絵付きで紹介されている資料もあり、作業者への事前注意喚起に活用可能だ。加えてカゴ車事故防止に向けた研修用DVD「ロールボックスパレットを安全に使用するためのルール」も作成し、より視覚的な面からのアプローチも提示している。

    また、令和2年度の年末年始労働災害防止強調運動実施要綱では「陸上貨物運送における荷役作業の安全対策ガイドライン」に基づき各地域において研修会の実施および荷役災害防止安全教育を実施するなど重点取り組みにあげているほか、要綱内に自主点検項目も展開。各企業のガイドライン作成などに向け知識普及を行っている。

     

    カゴ台車での作業中、8割以上が危険を感じた ブルルがドライバー調査

    「運搬中にカゴ台車が倒れて、自分が下敷きになった」「人と台車もろとも落下したのを見た」トラックドライバー情報サイト「ブルル」が行った調査では、81.7%ものドライバーが、「カゴ台車での作業中、危険を感じたことがある」と回答した。

    「飲料や米が満載のカゴ台車は、重くてなかなか思うように動かせない」「『2人以上で作業』と規定されているが、時間帯によっては1人作業が常態化している」など、危険を感じているドライバーの声が多く聞かれた。「実際にカゴ台車の下敷きになった経験がある」というドライバーは、「幸い擦り傷と軽い打撲だったので良かったが、一歩間違えば命を落としかねない状況だった」と振り返る。

    「『やばい』と思って手を離したので、カゴ台車だけの落下で済んだ」と話すドライバーも。「重さからして受け止められるはずがないのに、とっさの時は身体が勝手に動く」と振り返る。「破損分は高くついたが、怪我人が出なかったのが不幸中の幸い」

    事故原因については様々。「車輪ロックが壊れていることが多い」「バースとトラックの荷台にある段差につまずく」「積載重量を無視して過積載」「パワーゲート左右に落下防止のバーが無いトラックがある」「ストッパーの上げ忘れなど、簡単な作業が故に、慣れた頃に事故が多い」など。

    「カゴ台車を甘く見ると怖い。 会社からも『荷物よりも自分の命を守ることが先決』と言われている」と話すドライバーは、テレビなどでも報道された過日の事故について、「無理して荷を守ったのだろう」と同情の声を寄せた。

    一方で、「危険を感じたことがない」という回答は18.3%。大手スーパーマーケットチェーンの配送を担当していたというドライバーは、「作業マニュアルがあり、抜き打ちで作業をチェックされるなど徹底されていたため、危険を感じたことはない」とし、「事故が起きるのは、作業手順を間違える人がほとんど」と指摘した。

    命に関わる重大事故にはつながらなかったものの、「パワーゲートから降ろす際にストッパーの溝にハマってバランスを崩しかけ、無理な姿勢で受け止めたために腰を痛めた」「ゲートの無い車両からフォークで降ろす場面で、同僚がフォークを刺したときに、カゴ台車とフォークの爪の間につま先を挟んだことがある」など、作業中に怪我をした経験談も多く寄せられた。

    様々な危険と隣り合わせの物流現場。安全管理の徹底が人手不足や3K脱出の鍵になるかもしれない。

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    この記事へのコメント

     
    1. スシロー行きたいねえ says:

      カゴ車はまじで危ない。飲料積んでたら新人ではコントロールできない。

    2. kodama814の手帳 says:

      昔、若い子がパワーゲートからガゴ車ごと落下し「骨折」した事例がございます。

      不慣れな上、少しばかりの「横着」

      常に「危険物」を扱っていると言う「意識」は持ち合わせていたいです。

    3. 匿名 says:

      カゴ車の扱い方の指導とか
      ほぼ無く、即実践なのがな?

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    4. ききやく says:

      カゴ車の耐荷重超えて積んでるから事故が起きる。法整備しないとダメです。

    5. 匿名 says:

      かご車の扱い方はレクチャーしてくれるが、扱い方によって起こりうる事故や危険度は教えてもらえないことが実態。

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    6. 正体不明 says:

      ブレーキストッパーが壊れてる台車もあるので動かす前に確認しないと事故につながる。

    7. 匿名 says:

      ヤマト運輸だと効率優先で起きる事故と気が抜けて起きる事故がほとんどですね。
      ボックスに重量物を積みすぎて起きる事故も効率優先させたからだと思います。
      一人で動かせないほどに積んだボックスを、一人で運ばせるなんて無理なんですよ。
      荷卸しも一人でボックス2台を運ぶほうが早く終わるため「俺は仕事が出来る」なんて勘違いする連中が指を挟んだり、他の人にボックスをぶつけたりして事故が起きてます。
      仕事が早い=仕事が出来る=俺は偉い。って考える運転手が多いですね。
      俺的には、
      仕事が早い=仕事が雑、だと考えてますが。

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    8. 匿名 says:

      普段は手積み手卸しの仕事をしてますが、ゲート車で展示台を運ぶ事もあります。色々な納品先で他社がゲート車がカゴ車を積み卸ししてるときストッパーを活用してない他社ドライバーを見掛けます。あれでは事故は起きますよ。確実な作業が事故を防ぎます。

    9. 匿名 says:

      店舗配送だと納品場所が平坦じゃない所が多い。
      会社は「カゴは引かないで押すように」って言うけど、前下がりの納品場所で押してて足が滑ったら下敷きになるし、力が足りなかったら押し戻されてカゴとカゴの間に挟まれる。
      逆に後ろ下がりの場所は、カゴに勢いがついてパワーゲートのストッパー乗り越えて自分も一緒に落ちそうになる。
      それでも前後に斜めの場所はまだ良くて、左右に斜めの場所なんて本当に恐怖しかない。
      「危険だと思ったら手を離せ」って言うけど、手を離してゲートからカゴ落としたら、安全手当ての減額とか弁償とか言ってくる。
      ハイリスクなカゴの仕事するぐらいなら、バラ積みバラ降ろしのがマシだと思ってます。

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