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    最低賃金違反で行政処分開始、「弱い者いじめ」の声も

    2009年10月7日

     
     
     

     トラック運送事業者に対する監査方針、行政処分基準が1日付で改正された。このうち、パブリックコメントで批判が多く寄せられた「最低賃金違反」の処分基準も原案通り創設、適用が開始された。
     同違反については昨年、最低賃金法の一部が改正され、罰金の上限2万円が「50万円」に大きく引き上げられたばかり。労働行政だけでなく運輸行政からもしばりをかけられ、「弱い者いじめ」と怒りの声も上がっている。さらに民主党政権は最低賃金(最賃)1000円を公約しており、実現に向けて準備を進めている。最賃は賃金体系全体に大きく影響するだけに、多くの事業者は「経営への圧迫」を懸念している。


     新たな処分基準によると、最賃違反に対しては「一部の支払い」で初違反が10日車、再違反が30日車の営業停止となる。「全ての支払い」なら初違反30日車、再違反90日車と厳しい。関係者が怒るのは「食品衛生法などで管理されるレストランなどは『食中毒』を起こせば営業停止だが、最賃違反で営業停止になる話など聞いたことがない。われわれの場合、事故を起こして車両停止は分かるが、なぜ最賃違反でやられるのか」というもの。
     トラックの場合、仮に違反すると労働行政から50万円以下の罰金に処せられた上、少なくとも30日車の営業停止という二重の処分が待っている。
     「社会保険未加入も、本質的には物流に直接関係ないが、コンプライアンスという観点でトラック業界は従順に(行政処分を)受け入れてきた。われわれを守る役目だった国交省だが、時代の流れで仕方ない」と、大多数はあきらめ気味だ。
     昨年12月、厚生労働省は「最低賃金の履行確保に係る監督指導結果」をまとめた。全業種を対象としてアトランダムに抽出した1万8707事業場を調べたところ、6.6%に相当する1234事業場の違反が判明。「道路貨物運送業」は58事業場を調査、5.2%にあたる3事業場で違反がみられた。違反理由のトップは「適用される最賃額を知らなかった」(26.9%)、次いで「賃金を時間額に換算して比較してなかった」(11.7%)などで経営者の知識、理解不足が大半。
     こうした実態の下、最賃が大きく引き上げられようとしている。民主党はマニフェストで、「最低賃金の全国平均1000円を目指す」と主張し、そのための中小企業などに対する補償として2200億円を想定。前段階としてすべての労働者に適用される「全国最低賃金」を800円で設定するという。
     現在、最賃の全国加重平均は713円(最高は東京の791円、最低は沖縄など629円)で、800円でも引き上げ額は大きい。民主党は改正法案をまとめ、来年度中には成立させたい考えだ。
     「最賃が800円とか1000円に上がったら、その額で働いている人たちの給料を上げなければならない。影響は大きい」と、東京の物流業者。トラックの場合、待ち時間が必ずしも労働時間ではないケースもあり、「最賃を上げる前に労働時間、拘束時間などの法的解釈の見直しが先決では」との意見もあり、今後、全ト協など関係団体の動きが注目される。

     
     
     
     

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