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    軽油単価示されず 「業界を軽視」との声も

    2010年2月1日

     
     
     

     政府税制調査会は1月18日、原油価格の異常な高騰が続いた場合の「ガソリンおよび軽油」に対する課税停止措置の内容を決めた。ただ、指標となるのはガソリン価格で、軽油は「ガソリンの税率に連動させる」としており、トラック業界では「軽油がガソリン価格を上回ることもある。どうして指標となる価格を示さないのか」と不満の声が上がっている。
     課税停止措置は昨年12月に閣議決定した10年度税制改正大綱に明記していたもので、2月中に国会に提出される税制改正関連法案に盛り込む。政府は4月から実施したい考えだ。
     ガソリンの小売価格が3か月連続で1リットルあたり160円を超えたら減税、3か月連続で130円を下回れば再課税となる。ガソリンの本則税率は28円70銭で暫定税率が25円10銭。減税や再課税の対象となるのはこの暫定税率の部分。


    0201gs.jpg 政府税調によれば「暫定税率は廃止するが、現行の税率水準は維持する」という。「マニフェストで暫定税率撤廃を掲げておきながら、現実には何も変わらないではないか」との批判をかわすための苦肉の策がこの課税停止措置。同措置が発動されるとガソリンは1リットルあたり25円10銭安くなる。軽油は「ガソリンの動きに準じ」て、1リットルあたり本則税率15円はそのまま、暫定税率17円10銭安くなる。
     ユーザーにはありがたい話のようだが、軽油に指標となる価格を設定しなかったことに対する批判も多い。総務省などは「原油価格に連動してガソリン、軽油の価格が決まっている。当面、軽油価格がガソリン価格を超えることはない」とするが、一昨年の原油価格高騰期に一部地域で軽油がガソリンより高くなる現象が生じている。当時、「税額だけで20円以上も差があるのに、なぜ軽油がこんなに高くなるのか」と大騒ぎになった。
     元売りの担当者は「同じ中間留分の灯油が、例えば異常な厳冬
が続いて需要が逼迫した場合、軽油価格は簡単にガソリン価格を上回るだろう」という。
     しかし、軽油で指標となる単価が示されてない以上、仮にガソリンが159円で高止まりし、軽油が160円、170円になっても課税停止にはならない。
「日本の産業、物流を支えるトラック。その大半が利用する軽油を指標にしないのはトラック産業を軽視するもの」というのだ。

     「ガソリン価格優先は『軽油はガソリンより安い』との固定観念と『国民全体が対象なら、ガソリンだけ考えれば十分』との考えから決まったのだろう。トラック産業の燃料コストへの配慮がなかったことが分かる」と、ある運送事業協組理事長は強調する。

     政府は環境税導入までの「つなぎ税」制度と説明するが、軽油引取税の場合、減税1か月で708億円の税収が消失するほか、税率が変動することで自治体では税収が読めなくなる。また、東京都主税局などは「徴収のためのシステムを作り直さなければならずコストが甚大」とこぼす。複雑な税率変動で現場の混乱も予測されるほか、買いだめや買い控え、市況の価格操作など、さまざまな問題が生じる可能性がある。
     トラック事業者は指標となる軽油価格も示されず、「減税」のメリットも享受せぬまま、環境税を支払うことになるのだろうか。

     
     
     
     

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