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    物流効率化で激減した運賃 帰荷斡旋の約束守らぬ荷主

    2011年8月16日

     
     
     

     「物流効率化と称して今年度、荷主が運賃を激減させた。他の積み荷の混載が認められるなど、しばりが緩くなり、運行の自由度が増したことは間違いないが、話が違う部分もあり困っている」と話すのは、道内の中小運送事業者。
     運送会社の立場の弱さを見ることが出来る半面、自助努力の重要性を再認識させられるケースでもある。


     同社は印刷物関連の運送をメーンに手掛けているが、今年度、荷主が経費削減のため物流効率化に着手。取扱専門の物流子会社を新設し、実運送を担う協力会社に対して、大幅な運賃ダウンを申し渡した。
     これまで荷主は、他の積み荷を運ぶことを一切認めない代わりに、片道運行でも「往復分の貸切運賃」を支払っていた。荷主の業績が良好で、輸送品質を落とさないための措置と考えられる。同事業者は「確かにいい仕事で、すごく儲かった時期もあったが、時代とともに貸切運賃が徐々に下がっていった」と説明。今年度はついに混載や帰り荷を認める代わりに、「片道分」で「ロットに応じた」運賃体系となった。
     ただ、荷主は新しい運賃体系を適用するにあたり、協力運送会社に対し、「帰り荷の斡旋を行う」旨の約束をし、補填措置をとると伝えた。これが「一向に実現されない」ため、同事業者は「話が違うのではないか」と捉えている。
     「運んだ分だけ運賃を支払うという理屈は理解できるが、それだけでは赤字運行となる。これまで貸切でやってきた所が慣れない営業を行い、すぐに荷台を埋めることは難しい。それを考慮して荷主も荷物の斡旋について話したと思うが、何の動きも示さない」と指摘。自力で帰り荷や混載便を探し、収支改善の努力を行っているものの、「なかなかいい仕事は見つからない」状況が続いている。
     このケースについて、「荷主に振り回された中小運送会社の苦しさ」を見ることも出来るが、一方で「周りを見れば、いずれ運賃体系が変更されることは予想できた」「荷主に依存しているだけでは、いずれ立ち行かなくなる」ということも読み取れる。
     実は同事業者は、この荷主の売り上げがいずれ縮小することを予想しており、別事業で売り上げが確保できるよう以前から「種まき」を行っていた。実際にその通りとなり、この荷主の売り上げは大きく減少した。まだ別事業での結果は出ていないものの、同事業者は決して暗い顔をしていない。
     既存の仕事をベースに、荷主から要求されたことをこなすだけではなく、「荷主の問題に気付き、先行きを予想し、対策を練る」という問題意識を持ち、自助努力することが、これからの運送会社にとって必要になっている。

     
     
     
     

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