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    配車効率向上するも水の泡 原発トラブルでセンター稼働せず

    2011年8月25日

     
     
     

     運賃単価の下落で厳しい経営環境にある運送業界。現場では、経営者の並々ならぬ努力が見受けられる。そこでは、省燃費運転への取り組みや積載効率の向上を図るなど、生き残っていくために様々な創意工夫がうかがえる。埼玉県の事業者も生産性を上げるため、そして厳しい競争に勝ち残っていくため、トラックの24時間稼働を進めてきた。昼間と夜間の輸送の仕組みを整備し、大幅な効率が図れてきていたという。しかし、原発トラブルによって、同社の努力は水泡に帰してしまった。


     同社は、地場を中心に食品配送を手掛けている。生産効率を上げるには、車両の有効活用しかないと考えた同社社長は、トラックの24時間稼働に取り組んでいく。同社が取り組んだのは、まず、1台のトラックで昼間の仕事をこなす。労働時間の問題があるので、ドライバーを交代させる。そして、そのトラックで夜間の仕事をこなす。ドライバーは代わるが、トラック1台をフル活用できることから、生産性が上がり、厳しい中でもなんとか利益を確保できるようになっていたという。
     しかし、3月に発生した東日本大震災で状況は一変する。原発トラブルが発生し、電力供給の問題が取りざたされた。結果、首都圏でも計画停電が実施。まさに、その計画停電が同社の仕組みを頭から否定する結果となってしまったのだ。
     同社長によると、「計画停電によって、荷主のセンターの昼間の稼働がおぼつかなくなった」という。結果、配送時間が読めなくなった。予定時間に積めずに大幅に時間がずれ込むこともあったという。
     そのため、夜間の仕事に間に合わないという事態が発生。「時間通りに来ないと、夜間の荷主からクレームがでてしまい、やむなく諦めた」と同社長は話す。昼間の仕事を終えたトラックは、そのまま車庫に置かれ、夜間は車庫に眠ったまま。実質、効率は半減してしまったという。
     「昼間と夜間の荷主が同じであれば多少の融通は利くが、まったく違うのでどうしようもない」とこぼす同社長は、「今のままでは、利益などだせる状況ではない」と話している。
     「原発問題が沈静化しておらず、電力供給が不安視される中で、いつまた計画停電が実施されるか分からず、また、一度崩した仕組みを、そう簡単には、元に戻せない」と、計画停電が終了した今も、輸送効率の向上は図れていないという。
     「実質、水揚げが半減されてしまったが、こうした被害に関しては、東電や国の補償も期待できない」と話す同社長、「これしかないと懸命に取り組んできた努力が徒労に終わってしまった」と漏らす。

     
     
     
     

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