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    管理体制強化し企業防衛 厳しい監査と処分 北海道

    2012年1月27日

     
     
     

     昨年は道内の事業者から「運輸支局による監査が厳しさを増している」といった声をよく聞いたが、これはデータでも確認できる。監査強化の流れは年が変わっても強まることはあれ、甘くなるとは考えにくい。
     「コンプライアンスの徹底など無理な話」「周りもみんな違反している」「うちには監査など来ないだろう」などと軽く考え、労働・拘束時間の適切な管理、必要な帳票類の作成・保管、従業員教育などをおろそかにしている事業者は、すぐにでも意識を転換する必要がある。


     平成22年3月末の道内のトラック運送事業者数は3907社。22年度の監査・検査件数は687件で実施率は17.6%。このうち行政処分を受けたのは76件。全事業者のうち5.7社に1社が運輸支局の監査・検査を受け、このうち11%以上が行政処分を受けたことになる。
     今年度はこの割合が更に高くなっている。23年3月末時点で事業者数は3889社。上半期の監査・検査件数は354件で実施率は9.1%。通年に換算すると単純に2倍すると実施率は18.2%となり、5.5社に1社が監査・検査を受けていることになる。
     監査・検査の件数は微増といえるが、注目すべきは行政処分の件数で、上半期は63件にのぼった。監査・検査を受けた事業者のうち17.8%が行政処分を受け、前年度より6割増で行政処分を受けている計算だ。
     道内の運送事業者の管理体制が「1年間で急に悪化した」とは考えにくいので、これは運輸行政が「意識的に処分を強めている」姿勢の表れといってもいいだろう。11月下旬からの約2週間で重大事故を契機として、事業停止が3件も続いている。
     運輸支局の監査は何を端緒として、いつ来るのか、事業者は把握することはできない。それならば「いつかは来る」と考え、備えることが必要になってくる。
     札ト協顧問行政書士の佐々木ひとみ氏は、とりわけ保有台数が少ない運送会社の特徴を「安い仕事でも取る」「労働時間を無視」「一日いくらの賃金体系」「残業時間を把握していない」「法を守ろうという意識が薄い」「学ぶ姿勢が薄い」などと挙げ、このような会社が監査に入られると「登録上の車両台数との不一致」「役員、休憩室、車庫などの変更無届け」「点呼や適性診断の未実施」「連続運転後の休憩、拘束時間などの不徹底」「チャート紙、運行指示書の不備」「ドライバーへの教育未実施」といった違反を指摘されることが多いと話す。
     「今まで大丈夫だったから、これからも大丈夫」という考えが通用せず、いつ来るか分からない監査は、細かな不備まで見逃さないようになっている。自社の不備を正確に把握し、管理体制の改善や強化に手をつけていくことは、余計な手間ではなく、企業防衛と考えなければならないようだ。

     
     
     
     

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