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物流ニュース
Q配サービス お買い物サービスに参入「手ぶらでカエル君」
2012年7月11日
数年におよぶ赤字体質から黒字体質に転換させた、Q配サービス(大阪府門真市)の髙柳均社長。債務超過の状態から24年3月期は、売上高114億594万円、当期利益1億824万円を計上した。
トップに就任後、約1年間でグループの無駄を9割削減するものの、人員は減らさず、全国40拠点の営業力という強みを生かして財務体質を大幅に改善させた。先を見据えた攻撃的な営業と新たなマーケティング開発力に成長のカギがあるようだ。
昨年2月にByーQホールディングス(東京都中央区)の一員となった同社。これに伴い髙柳社長が経営の舵取りを任されたが、就任当初に打ち出したのが「再生プラス生き残りを賭けた新たなプランの同時進行」だ。
再生の要となったのが、ByーQグループとのシナジー効果を生かし、全国各地のネットワークによる様々な輸送媒体での緊急輸送の対応を可能にしたことで、マッチングビジネスとしての本質を見つめ直したこと。既存の営業力をさらに強化したことで、より安心して仕事ができる環境を整えることができ、車両の販売やリースを伴わない開業支援者を増やしている。
もう一つは、「全国の拠点数を50まで拡大し、5年後の売り上げ150億円を目指して挑戦し続けていく」と、新たに打ち出したのが「お買い物サービス」への参入だ。
自家用車などの普及に伴う大手スーパーマーケットの郊外移転やネットスーパーの一般化という背景から、都市部の駐車場がない中小スーパーマーケットはサービス面で劣勢になっているという。また、高齢者や主婦層の日々の生活に必要な生鮮食品の購入時間などの負担を軽減できる「お買い物サービス」の参入を考えた。
それらの背景を踏まえ、財務健全化と同時進行で開発に着手した新商品が「手ぶらでカエル君」だ。各地域の中小スーパーなどの小売業をターゲットに、お客が購入した商品を指定された場所、時間に届けるサービスであり、手ぶらで帰ってもらうことができる。「中小スーパーの売り上げ向上と集客力の交渉に寄与できる」と自信を見せる。
ローコストで導入できる独自サービスで、髙柳社長は「このサービスはシステムなどを用意することなく、すぐに始められる。最短1か月でスタートできる」と説明する。
また導入した店舗はスムーズにサービスが展開できるよう販売促進のサポートも行うという。配達がメーンとなるが、「それぞれの店舗に合わせたサービスをオーダーメイドで考えたい」とし、「小規模な地元スーパーとの連携による新規出店のお手伝いや配送を通じた地域の市場調査、ポスティング、ネットスーパー導入までのコンサルティングサポートなども考えている」と話す。
それらに加え、専用のスタッフと車両でサービスを提供するため、「店舗が重視している安心感も合わせて提供できる」という。また「自宅に届けた場合、その場で新たな注文を受けて再度配達することも可能。いわば『ご用聞きサービス』をオプションで用意している」と話す。
主なターゲットは、中小スーパーマーケットになるが、「ホームセンターでも家具店でも百貨店でも、モノを買って帰る業態であればすべてが、このサービスの対象になる」と幅広く推進していく考え。
今後の展望については「導入目標は、まずは1年で100台、全国で手ぶらでカエル君の専用車両を走らせたい。3年後、500台まで増やしていく。サービス利用促進のため東京ビッグサイトで開催される販促EXPOにも参加する」と、新商品のブランド化に意気込みを見せる。
「本格的な高齢化社会に対応するには狭いエリアごとに地域住民の信頼を得ながら行う『ご用聞きサービス』こそ望まれてくる」と捉え、「買い物難民の解消という社会的課題は、ドアトゥドアで配送を行う軽貨物をメーン事業とする当社の役割だと考えている」と語る。
また、今回の専用車両のデザインなどを立案したのは経営企画室の中嶋祐吾氏。入社したばかりだが「誰もが目を引くデザインを採用した。まだまだ途中段階なので改良を重ねていきたい」と話す。新たな市場の開拓には若い力を重視する髙柳社長の考え方と、社員との隔たりをなくす職場環境の改善も企業の成長につながっているようだ。
◎関連リンク→ 株式会社Q配サービスこの記事へのコメント
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