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    北海道新幹線延伸 貨物鉄道へ影響?

    2012年8月30日

     
     
     

     北海道新幹線新函館(仮称)ー札幌間(211km)の延伸が6月29日に決定し、道内ではこれを祝うイベントが各地で開かれている。この延伸によって、道内の物流業界には二つの大きなインパクトが出ることになる。一つは、長期にわたり発生する整備にかかる物流。もう一つは、貨物鉄道への影響だ。


     北海道新幹線の札幌までの工期は24年間を予定しており、総事業費1兆6700億円にものぼる。公共工事の減少が止まらず、経済の縮小が懸念される北海道では、久しぶりに長期・大型の整備計画となり、物流業界でも「特需」を期待する声が高まっている。
     建設や重機に関係する運送を行っている事業者からは、「どれくらいか分からないが、仕事が増えることは間違いない」(道央の事業者)、「この工事に呼ばれるとは思う。依存するつもりはないが、やはり期待せざるを得ない」(同)といった反応の半面、「既存の仕事をしっかりこなし、新幹線はプラスアルファとして考えている。受けることができたらラッキーというくらいの気持ち」(同)という慎重な声も聞かれる。
     その一方で、長期的に大きな問題となってくるのが鉄道貨物、とりわけ農水産品の物流への影響だ。
     北海商科大学の佐藤馨一教授は、「北海道の基幹産業である農水産品の貨物は波動が大きく、道外へは3分の2が鉄道によって輸送されている。フェリー輸送ならオフピーク時に耐えられず、トラックなら帰り荷がなくロスが大きい。鉄道コンテナは帰り荷が空でも、最もコストが安く運べる輸送モードであり、北海道の農水産品が首都圏で評価されるのは、JR貨物の輸送力のおかげ」とし、そこで「北海道新幹線と貨物鉄道との共用区間(約82km)」が問題になると指摘する。
     佐藤教授は「現在、この区間に貨物鉄道は旅客の2倍近い本数が走っているが、新幹線が出来たことで、北海道の農水産品を運ぶ鉄道が減少する可能性に突き当たる。道民の税金を使って新幹線を整備することで、道内の主要産業にダメージを与えることにもなり、放っておくと、道議会が予算を承認しないこともあり得る」と懸念している。
     新幹線と貨物鉄道との共用区間では、すれ違い時の風圧を抑えるため、新幹線は時速140kmへと減速することになるが、これによって新幹線の走行時間も伸びる。現状を放置したままでは、物流にも旅客にも悪影響が出てしまうことが避けられない。
     このため、国交省ではすれ違い回避の方策を検討しているが、解決策の提示は簡単ではない。交通政策審議会整備新幹線小委員会の青函共用走行区間技術検討WGで検討している案として、例えば、貨物専用新幹線(トレイン・オン・トレインなど)の導入は、事業費が1000億円以上かかる見込み。上下線の間に隔壁を設置するには1600億円程度かかり、第二の青函トンネル建設には4000億ー5000億円もの事業費がかかってしまう。国と地方の財政を考えると、これらは現実的ではない。
     新幹線と貨物鉄道の共存に対して、佐藤教授ら一部の識者が懸念を表明しているものの、道内の物流業界からは、根本的な解決策の検討や、積極的な意見の提示はほとんど見られないのが実態だが、いずれ大きな問題となって、はね返ってくることは間違いない。

     
     
     
     
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