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    派遣法改正で現場混乱 需要と供給満たせず「悪法」の声

    2012年11月21日

     
     
     

     「倉庫の入出荷作業が人手不足で追いつかない」と、もはやパンク状態の現場。忙しいときは、ドライバーをトラックから下ろして手伝わす始末で、どうにもできない状況が続いている。毎日、10〜15人の派遣労働者を雇っていたという埼玉県の事業者は、10月から施行された労働者派遣法の改正によって、大きなダメージを受けている。


     倉庫をメーンに展開している同社は、日によって荷物の量に波があるため正規雇用が難しく、派遣に頼っていた。その頼みの綱である派遣業者に10月以降、人が集まらなくなったのだ。
     10月に施行された労働者派遣法の改正では、日雇派遣(日々または30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)が原則禁止になった。学生や60歳以上の高齢者は適用外となるものの、労働者は単発での仕事ができなくなった。派遣業者も、違法行為となるため登録ができなくなり、日々の派遣を求めるユーザーの声に応えることが難しくなった。
     日雇派遣の禁止は、安定的な正規雇用を促すための国の対策だろうが、現場では混乱を招き、供給側・需要側ともに困惑を隠せない様子で、関係者からは悪法との声も聞かれる。
     派遣事業者によると、これまでの日雇派遣はユーザー側、そして働く側双方にニーズがあって成り立っていた。それを国が強引に禁止したことで、今では双方が困っているという。
     日雇いが禁止されたのは、フリーターの台頭を食い止めて少しでも正規雇用を進め、雇用の安定を図るための施策だといえる。フリーターの中には、芝居やスポーツなど夢を追いかけている若者もおり、雇う側の理解が得られない限り、正規の仕事には就けない。そのため、自分の空いた時間を利用して働ける日雇いの仕事は、彼らにとって格好の働き方だった。
     一方で、ユーザーである倉庫業者にしてみれば、作業に波のある中で日雇派遣は、もってこいの仕組みである。この双方のニーズを結びつけ、バランスを保っていたのが派遣会社だったが、それが原則禁止になったことでバランスが崩れ、人手不足を招いている。
     同社では、人手不足を補うため、忙しいときはドライバーをトラックから下ろして、作業を手伝ってもらうという苦肉の策を講じている。「トラックを遊ばせることになるが、現状では仕方がない。自社で労働者を確保するなど、何とか対策を講じなければいけないが難しい」と語った。

     
     
     
     

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