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    期限切られた解散への道 トラック厚生年金基金

    2013年9月11日

     
     
     

     およそ560ある厚生年金基金のうち、9割に解散を迫ることになるという改正厚生年金保険法の成立から1か月。財政悪化が顕著な基金から順次解散させることで公的年金の資産保全を図るのが狙いだが、トラック運送業界の全国35基金には、「積立水準が著しく低い」として厚労大臣の「指定基金」となった例や、すでに同水準まで財政が悪化したケースが全体の3分の1を占める。来年4月に同法が施行すれば5年以内に解散か、もしくは継続かを判断しなければならないが、設立年数が浅いなど微妙なラインに立つ基金では、早期解散に限って享受できる優遇・緩和措置を気にしながら存廃を探る日々が続いているようだ。


     「すべてのトラック年金基金が解散を前提に考えているわけではない。ただ、優遇処置の内容や動向を見極める必要はある」と、あるトラック基金の幹部関係者。解散するには、国から預かる資産(最低責任準備金)のマイナス分を穴埋めしないといけないが、改正法の施行から5年以内に自主解散すれば最低責任準備金の軽減化や、不足分の分割納付などが認められる制度が用意されているためだ。
     すでに指定基金になっていたり、「3年連続で積立金の総額が最低責任準備金の9割を下回った」「直近の決算で同8割を下回った」という指定基金の要件に近い基金の多くでは、緩和措置の詳細が明らかになると思われる政省令の発出を待ちつつ、決断のタイミングをうかがう状況にある。別の基金幹部は「代行割れを解消して解散したいが、株などで一発逆転のバクチに出るわけにもいかない。国の運用を真似ることで現状を悪化させないようにするしかない」と打ち明ける。
     トラック運送業界には現在、昭和43年に設立された「東京トラック」「東京貨物」を皮切りに、平成3年に立ち上げられた「長崎」「岐阜」の両基金まで計35の基金があるが、前出の基準(指定基金)に当てはまる財政悪化が見られるのは12基金。ただ、最近の株高などで内容が改善したケースもあり、そうした状況が最終判断を鈍らせているともいえる。関係者によれば「解散、存続を選択する割合はほぼ半々という感じだが、『隠れ借金』を抱えていることが明らかで、少しでも有利な時期を見極めようとする解散希望の基金に比べ、むしろ悩みが尽きないのは現状で代行割れになっていない基金のほうではないか」と指摘する。
     「5年以内」という自主解散のタイムリミットが過ぎれば、代行割れでなくても責任準備金の1.5倍以上の年金資産を保有していなければ厚労大臣から解散命令が発動され、その場合には5年以内のケースで適用される「減額」「分割納付」といった優遇措置も受けられない。また、そうした基金が解散する場合、責任準備金を国に返した後に余った資産を分配するが、「ドライバーらが入社しても社会保険だけを手続きして、年金加入は放っている事業所も存在する」(事情通の一人)との実情もあるようで、資産分配の公平性を保つため加入状況の整理作業が必要になるケースも予想されるという。

     
     
     
     

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