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物流ニュース
実態調査にみる標準的運賃の効果
2023年6月30日
2020年4月に国土交通大臣によって告示された「標準的運賃」は、告示から3年が経過した。同運賃は、令和5年度末までの時限措置として設けられたが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響も大きく、事業者への浸透が大幅に遅れた。そのためか、届け出がなかなか進まず、時限延長を求める声も多い。
こうした中、告示から3年が経過し、国土交通省が実態調査を行った。2月7日~3月31日に渡って、全ト協会員や荷主企業を対象に実施、5万1657社のうち、4401社から回答があった(回収率8.5%)。それによると、運賃交渉を行った事業者は69%と、約7割が交渉していることが分かった。前回、令和3年度に実施した時が52%だったことを考えると、荷主との運賃交渉の割合は大幅に増えている。
さらに、運賃交渉を行った事業者のうち、荷主の理解を得られたのは33%で、全体としての割合は15%だった前回と比べ、同63%で、全体としての割合は、43%と大幅に増えている。標準的運賃並びに運賃値上げの理解が広まっていることが伺えるところだが、燃料高騰をはじめ、人件費やその他車両などが値上がり傾向になる中、毎年のようにコストアップが厳しくなり、取り巻く経営環境の厳しさを考えれば、まだまだ浸透している、荷主の理解を十分に得られているとは到底言えない。
現在、同運賃の届け出状況は、北海道が57.4%、東北が60.9%、北陸信越が60.3%、中部61.6%、近畿が54.2%、中国が79.6%、四国が87.4%、九州が71.3%といずれも半数は超えており、全体でも53.9%と半数を超えているものの、関東は33.1%といまだ低い状況だ。
回答した事業者の76%が延長を求めており、国交省でも道半ばとしている。アンケート結果から徐々に効果は出ているとはいえ、まだまだである。延長を視野に、水面下では粘り強い交渉が必要不可欠だといえる。
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