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    「事業停止30日間」明日は我が身 いま一度チェックを

    2013年12月20日

     
     
     

     「悪質な事業者に対する集中的な監査」という方針に基づき、そうした違反に関係する行政処分基準が11月から厳格化された。さらに年明けの1月からは、小規模・零細がひしめくトラック運送事業にとって〝死刑宣告〟に等しい 「事業停止30日間」の適用も始まる。厳罰の対象は無許可営業や名義貸し、運行管理者・整備管理者が選任されていないなど、事業者による自己診断で瞬時に適否を判断できるものが大半であるため、行政関係者からは「普通にやっているなら特に恐れることはない」との声も聞かれる。
     ただ、「重大かつ悪質な法令違反」の一つに挙げられている「運転者の勤務時間等の基準が著しく順守されていない」という問題は、実運送の会社にとって30日間停止を〝明日は我が身〟に感じさせている。


     1月から適用される30日間の事業停止となる悪質違反は、前述したもの以外に点呼や定期点検整備を一切実施していなかったり、監査の拒否や虚偽の陳述をした場合など。いずれも事業者が自己診断で白黒を判断できるために大きな懸念材料とはならないが、問題は「ドライバーの勤務時間の基準(改善基準告示)を著しく守れていない」というケース。「著しく…」という判断が難しい表現に頭を抱える事業者も多い。
     年末年始の繁忙期に消費増税や五輪ムードも加わって、にわかに輸送需要が高まっていることが不安を増幅させる一因ともなっているようで「ドライバーもトラックも足りず、労働時間オーバーは避けられなくなっている」と、住宅資材などを運ぶ岡山市の運送会社。
     また、「役所が納得するような時間内の仕事だと従来の給料は出せないし、それが原因で賃金トラブルも起きている」(食品などを扱う東広島市の運送会社)といった声も珍しくない。
     トラック事業者とすれば時間違反の「著しく」について、あらためて内容を確認しておく必要がある。これまでなら「事業停止3日間」だった違反と大差ないケースでも今後、同30日間になる可能性を秘めているからだ。
     「1か月の総拘束時間(293時間)」「1日の総拘束時間(16時間)」「休息期間(連続8時間)」「連続運転時間(4時間)」「1日の最大運転時間(9時間)」「1週間の最大運転時間(44時間)」…これらの時間に関するルールが1か月単位で「どれだけ守られていないか」をチェックするのが急務だ。重大事故などによって当局の監査が入った場合は従来、そのドライバーの時間違反(前述の項目)が延べ31件(1か月間)に達した場合に3日間の事業停止とされていたが、この部分の取り扱い(計算方法)が変わる。
     大ざっぱにいえば「監査でドライバーに31件超えが確認された場合、あと2人を調べる。それで同様に2人が31件をオーバー(延べ3人になる)していれば、次に3人を除く全ドライバーをチェックして、その過半数に『拘束時間』の違反が見つかれば30日間の事業停止となる」(ある運輸支局の監査担当官)というもの。監査を受けた経験のあるトラック関係者からは「敵もさる者。この商売の賃金体系を知っていて、給料の多いドライバーに長時間労働の可能性が高いと踏んで調べてくる」(食品や工業原料などを運ぶ福山市の運送会社)というから、事業者側としても改善を急ぐべきポイントだ。
     また、1日の総拘束時間(16時間)に違反すれば、おのずと休息期間(連続8時間)もアウトになる可能性が高く、これだけで2件がカウントされる。こうした場合は分割休息(計10時間が必要)を活用するなど少しでも対策を講じるほか、連続運転時間(4時間で30分)など現場の意識徹底や工夫で改善が不可能ではない部分の早期の手直しも不可欠。いずれにしても現状で「月間の違反件数」がどの程度かを知っておくべきだろう。

     
     
     
     

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