-
物流ニュース
北海道地域PI懇談会 全国初開催
2023年7月31日
北海道地域フィジカルインターネット(PI)懇談会の初めての会合が7月28日、札幌コンベンションセンターで開催された。経産省が主催した全国初の会議体で、会場には道内の有力物流企業30社、メーカー・卸・小売など大手荷主企業40社をはじめ、物流関連企業や行政機関、経済団体など約240人が参加。このほかオンラインで全国から100人が参加した。
PIとは、インターネットの考え方を物流に適用した共同輸配送システムの構想。これを社会実装する動きの先駆けとして、北海道で懇談会を設置、北海道としてもPIに関する初の本格的な会合となった。
製配販の荷主企業をはじめ、物流企業の協力・連携の促進に資するよう、行政も含めた幅広い関係者間でPIに関する情報・意見交換を行う場として開催し、年度内に「物流情報の電子化・データ連携」と「小売業の在庫管理・需要予測」に関する実証を行い、年明けにもう一回懇談会を開催する。
北海道経済産業局の岩永正嗣局長は「物流は社会インフラだが、モノを製造しても、運べない状況に直面している。地域や業種の枠組みを超え、北海道をPIのリーディングモデルにしていこう」と呼びかけた。
経産省商務・サービスグループの中野剛志消費・流通政策課長兼物流企画室長は「持続可能な物流に向けた対策は政府全体のトッププライオリティ。PIとは、『共同輸配送』『容器の標準化』『車両や倉庫などリソースのシェアリング』を『デジタル化』して徹底すること。政府でロードマップを策定し2040年にPIを実現しようとしており、その最初の場として物流にとって過酷な地域の北海道を選定した。北海道は物流への問題意識が強い企業が多く、PIへの親和性が高い。物流危機を乗り越えるリーディングモデルを生み出せる可能性がある地であり、企業や業種の壁を越えた協調の取り組みに期待している。北海道でPIのモデルを創り、それを全国で真似をしてもらう」と話した。
野村総研モビリティ・ロジスティクスグループの小林一幸グループマネージャーは北海道物流実態の調査結果を報告し、「対策を行わないと、2030年に北海道全体でトラックドライバーの需要が27%不足し、特に旭川・函館・釧路・北見は30%以上不足する。道内の営業用トラックの積載率は現状約35%であり、業界横断での共同配送を進めることで積載率を2030年度に50%まで向上させれば、ドライバー不足が大きく改善するという試算を得た。このためには、各社の輸配送の実態の可視化、データの活用がカギであり、荷主企業を含めた関係者間の協力が必要」と強調した。
北海商科大学の相浦宣徳教授は「今回の懇談会は北海道にとって、千載一遇のチャンス。データに基づいた地域供給ネットワークの協創に取り組みもう」と訴えた。
このほか、明治大学の橋本雅隆教授、カスミ営業統括本部の齋藤雅之SCM担当マネージャー、イオン北海道の石田将物流改革マネージャー、流通経済研究所の加藤弘貴専務らが、PI構築に向けた考えや取り組みなどを紹介した。
関連記事
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ