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物流ニュース
未知数のトラックGメン
2023年8月31日
トラック荷主特別対策室、いわゆるトラックGメンがスタートした。実効性のある対策をと、6月に政府が「物流革新に向けた政策パッケージ」をまとめた。
そこで商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容を軸に、具体的な取り組みが行われていくことが決まったが、今回のトラックGメンは、それに基づいて創設された。これまで国交省は、貨物自動車運送事業法に基づき、荷主企業や元請け事業者への「働きかけ」や「要請」を行ってきたが、荷待ち問題や買いたたきなどの問題の解消には至っていないのが実情で、より効果の期待できるものとして、トラックGメンに踏み切った。
人員は、既定定員82人(本省13人、地方運輸局16人、運輸支局53人)に、新たに80人(本省2人、地方運輸局19人、運輸支局59人)を加え、162人体制で臨んでいく。
今回、同対策室の室長に就任した国交省の小熊弘明貨物課長は、「トラック事業者の声を聞き、適正な取引を阻害する疑いのある荷主や元請け事業者には働きかけや要請を集中的に行い、理解と協力を粘り強く求め、トラック運送業をより働きやすく、働きがいのある環境とすべく全力で取り組む」と決意を述べている。
国交省では今後、経産省や農水省、中企庁や公取委、厚生省など、関係省庁と連携しながら進めていくとしている。これまでもトラック業界では、立場の関係上、荷主の優越的地位の濫用などが指摘されてきている。そのため、行政の荷主勧告制度も存在していたが、ほとんど機能してこなかったのが実情だ。経済活動は自由競争が定着した中で、行政が口をはさむことの難しさを示しているといえる。
そのため、今回のトラックGメンがどこまで機能するかは未知数だが、物価上昇の中で、2024年問題を控えており、事業者は待ったなしの状況だ。時の政権が示した政策パッケージでもあるだけに有効性のある商慣行の見直しにつながっていくことを期待したい。
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