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    雪害は適用除外か 改善基準告示を考える

    2014年4月25日

     
     
     

     トラックドライバーの労働時間を厳格に運用すると、大雪で足止めを食った車中の従業員の扱いはどうなるのか。例年、積雪の多くない地域で大雪が降り、多くの車が立ち往生した2月中旬。不可抗力ともいえる雪害で物流も混乱したわけだが、この「不可抗力」。自然災害にだけ適用されるのか、それとも、取引関係者の意向を汲んだ納品を迫られるトラック運送業界の日々の業務にも言えることなのか。トラックドライバーの拘束時間を定めた「改善基準告示」について改めて考えた。


     近畿地方のトラック運送事業者は「トラックドライバーには拘束時間がうるさく言われるのに、自家用車で営業回りをしているサラリーマンならおとがめなしなのか」と、いぶかる。同事業者は運輸局による監査で、労働時間や拘束時間に関する指摘を多く受けた。事業許可を取得してまだ5年程度であったこともあり、監査の厳しさ、厳格適用を初めて実感した。
     トラック運転者の労働時間を定めた「改善基準告示」。1日の拘束時間は13時間以内を基本とし、これを延長する場合であって16時間が限度とする規定だ。公道で閉じ込められた車は、いつ動き出すのか現場のドライバーにも予測できないことであり、常に運転できるように待機している状態が続いていたようだ。常に待機しているような時間は、たとえ「休息期間」(1日のうち、拘束時間外の時間)と事業者が判断していても、労働・運輸行政では拘束時間と判断されることが多い。
     近畿地方の労基署監督官は当初、「雪害は事業主の差配だけではどうしようもない」ことを理由に、改善基準告示の適用除外にあたると言い切った。しかし、同告示の適用除外を定めた平成9年の通達では、緊急車両認定を受けた車両や、指定危険物積載車両の乗務にあたるとするなど五つの項目があるのみ。雪害など自然災害で立ち往生した車中のドライバーに関しても同告示が適用される。つまり16時間を超えた拘束時間は違法とされている。
     だが仮に、監査で雪害での立ち往生の記録が違法だとしても、「管理に当たった事業者側が裁判所の判断で負けることは少ないのでは」とある事業者は指摘する。
     また、先の監督官が指摘した「事業主の差配だけではどうしようもない」という不可抗力の感覚も見逃せない。自然災害かどうかはともかく、取引先の差配なども入ってくる取引現場で、事業主の差配が効かないことは物流業界には日常のようにあるからだ。今回の雪害は、これまで業界で絶対視されていた同告示の有り様を相対的な問題として示してくれたとも取れる。

     
     
     
     

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