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物流ニュース
第一倉庫 危機意識の徹底を持続、非常時訓練で万一に備え
2014年5月21日
昭和31年に創業し、首都圏に7つの倉庫を運営する第一倉庫(東京都江東区)の若きリーダー、小泉泰志社長(写真左)は、3年前の東日本大震災発生時は九州に滞在していた。知らせを受けてすぐに出発し「関東地域も交通がマヒしていたが、運良く12日には東京に戻れた」という。自社倉庫の被害は大きくはなかったが「浦安の倉庫はほぼ問題はなかったが、周辺の道路が液状化し、車が通れない状態になった。3年経った今でも、部分的に直しているので渋滞が起こりやすい」と説明する。
災害時の指定倉庫として協力する同社では、行政から有事の連絡手段として衛星電話などの設備も預かっている。「性能は良いが政府や行政にしかつながらない。大切な荷主との連絡用に必要とも思うが、それぞれに設置すると煩雑になってしまう。有事の際のシステムはシンプルであるべき」と課題を指摘する。
また、「今、大地震が起きたらどうするのか、という意識を常に社員に持ってほしい」と意識改革の必要性を強調。朝礼や会議など、常に危機意識を忘れないよう啓蒙し続ける。例えば、社員との電話連絡時などで突発的に「今地震が来たらどうする」と、質問したりすることも。「今ならここに逃げるとか、いつも頭の中でシミュレーションしながら居るだけでも、万一の時の行動が変わる。荷物の積み方も変わるかも知れない。社員が自然と危機意識を身に付ければ家族にもその話をするかも知れない。防災の意識は過去のものになってはいけない。災害、特に地震は常に突発的に来る」という。
さらに同社会長の小泉駿一氏は「仲間同士のネットワークも大切。助け合いの行動が復興を早めるポイントになるはず」と述べる。それを受け、小泉社長は「倉青協(倉庫業青年経営者協議会)の仲間が、3年前の震災で立ち上がれないくらい大きなダメージを受けた。我々の仕事は荷主の大事な荷物を預かり、何があっても、いかに早く日常の流れに戻すかが重要。ダメージを受けた仲間から、震災の翌日に相談の電話が来たが、『わかった、代わりに引き受ける』と即答し、当社で代行した。困った時はお互い様で、次はウチがお世話になるかも知れない」。
支え合いの思いは倉青協でも一つになり、被災地の会員や人々への支援物資の供給や復旧活動として実行された。小泉社長は「〝輸送は任せろ〟と、ハナから物流のプロが取り仕切ればうまくいく。そんな手応えと自信を感じた」と話す。
防災のポイントについて、「日頃からの危機意識と非常時訓練の実施が重要。定温保管などは送電が途絶えても数日間は問題なく、各倉庫に非常用のトイレや備蓄品を置くなどの対策は取っているが、継続が難しい危機意識が一番大事。〝いつ来るか分らない〟という意識は今後も徹底していく」と語った。
◎関連リンク→ 第一倉庫株式会社この記事へのコメント
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