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物流ニュース
王子マテリア 機密書類を再生紙に、リサイクル事業に注力
2014年6月16日
東京都内唯一の製紙工場がある。江戸川区にある王子マテリア江戸川工場だ。1922年(大正11年)に操業を開始。以来90年間、さまざまなニーズに応じて紙を市場に提供してきた。そんな工場がいま力を注いでいるのが、機密書類のリサイクル事業だ。
専用のエリア、専門の設備を設けるとともに、同エリアに機密書類のみを扱う専従者を置くなど、万全のセキュリティー対策を講じ、顧客のニーズに応じている。物流事業者も自社のみならず、荷主の機密書類の処分を依頼されるケースが多いという中、同工場の高木洋工場長は、「取り扱いに困る機密書類はぜひ、当社の工場を活用していただきたい」と話す。
同工場は14万2000平方mの広大な敷地の中にあり、ティッシュや洗剤、菓子などのパッケージに使用される白板紙を年間約14万トン生産している。機密書類のリサイクル施設は、工場の一角に専用エリアとして設けられている。同施設に持ち込まれた機密書類は、溶解処理が行われて新しく白板紙に生まれ変わる。同工場事務部の鳥屋部岳治部長によると、同施設は1時間当たり約11トンの処理能力を有しているという。
機密を完全に保持し、迅速に対応するため完全予約制。施設内には20台の監視カメラが設置され、24時間体制で監視が行われている。施設への立ち入りは、同社の社員でも静脈認証登録を行った一部関係者のみという徹底ぶりだ。
さらに、運搬車両が施設に入ると、シャッターが下り外部と遮断される。機密書類は段ボールに入ったまま、未開封の状態で溶解処理されるので、「うちのスタッフといえども、文書を見ることはできない」と、鳥屋部部長は指摘する。
排出者の立ち会いも可能で、溶解処理されるところを現場で実際に確認もできる。溶解完了後には、確実に処理したことを保証する「溶解証明書」が発行され、行政機関などへの環境・リサイクル証明として活用できる。
機密書類は、一定期間保存しなければいけないケースが多く、倉庫会社の倉庫で保管されることが少なくない。保管期間を終えた書類は焼却処分されるか、同工場のように溶解処理され、再生紙として生まれ変わるかという選択となるが、現状では、焼却処分が圧倒的に多いという。
同工場では都内唯一の工場として、都市部で出る機密書類の回収に力を注いでいる。高木工場長は、機密書類の処分を任されることが多い物流事業者に対し、「環境にやさしいリサイクル事業にご理解いただき、ぜひ、当社の施設を活用していただきたい」と話している。
◎関連リンク→ 王子マテリア株式会社この記事へのコメント
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