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物流ニュース
顧客満足のために 成功事例から学ぶパートナーシップ
2014年8月18日
「トラック事業者と荷主とのパートナーシップ構築」は、「書面化推進ガイドライン」の4月施行に先立って行われたセミナーの表題だ。同セミナーは、事業者と荷主を対象に全国各地で行われたが、裏を返せば、荷主と事業者が対等なパートナーとして業務にあたるということが課題であるともいえる。
そんななか、リコーロジスティクス(若松勝久社長、東京都品川区)は、「エンドユーザーの満足度の追求」という目的を協力事業者との間で共有し、ドライバー教育に手厚く関わるだけでなく、ドライバー側からの情報の吸い上げにも積極的に取り組んでいる。自社でのドライバー教育に高い意識を持つ事業者、兼藤コーポレーション(佐藤剛社長、埼玉県富士見市)とリコーロジスティクスとの関係は、「パートナーシップ」構築の一つの成功事例といえよう。
リコーロジスティクス執行役員で首都圏事業本部OS事業部の蛭間博信事業部長は、協力事業者に対し「品物を届けることではなく、顧客サービスを委託している」と話す。「元々メーカーの営業職が担っていた納品業務であるため、配送以上のサービスが求められる。配送先によって異なるニーズに応えるためには、きめ細かな顧客情報の伝達とドライバー教育が必須」と、ジョイントとしての協力会社の役割を説明する。
「当初は、いかに理解してもらうかが課題だった」と振り返る。「伝票の見やすさや書き方もドライバーからの指摘で改善していった。顧客満足の維持と向上のため、現場の意見を積極的に採り入れた」という。
同社と協力会社との関係は、経営者を対象とした「パートナー会」だけでなく、個々のドライバーを集めた「勉強会」など重層的だ。勉強会では顧客とともに、ドライバー個人に対する表彰制度を設けているという。定例会のほか、必要に応じて行う営業所ミーティングも含めれば、週1回の頻度で開催されているという同会は、情報共有と改善の場として位置付けられている。
「他社のドライバーと共に改善に取り組む勉強会は刺激になる」と話すのは、10年来の関わりを持つ兼藤コーポレーションの佐藤剛社長だ。佐藤社長は、「我々の意見に聴く耳を持ってくれるから長い付き合いができる」とした上で、「言うべきことを言わずに質の低下を招いたり、仕事から引かざるを得なくなったりすれば大きな迷惑をかけることになる」と、荷主満足ではなく顧客満足を見据える。こうした姿勢に対して同事業部長は、「自分たちの仕事として取り組んでくれる。研修に来たときだけではなく、日頃から社長自ら横乗りするなど、きちんと教育をしてくれている」と、同社に対し目標を共有するパートナーだと信頼を寄せる。
ここ10年ほどは、品質へのニーズの高まり、ドライバー不足など業界を取り巻く状況の変化を感じているという同事業部長。「パートナーやドライバーと長く付き合っていくことで、品質の安定と向上を図る」との方向性を示す。
ドライバーから上がってくる情報も「初めは要求や要望が多かった」というが、「徐々に提案に変わってきた」と、事業者任せのドライバー教育に終始しない取り組みに手応えを感じている。
同事業部長が、求めるパートナー像として挙げるのは、「引き出しの多い事業者」だ。幅広く様々な荷主と付き合いのある会社からの意見も大切にしているという。
同社が7月から稼働を予定している「物流センター城南島」では、荷待ち時間の短縮など事業者が働きやすい環境に配慮している。「この仕事をしていてよかったと思えるようなセンターにしたい」と話す同事業部長は、「皆が誇りを持って働いて、幸せになれるのが夢」という。
荷主、事業者の垣根をなくし、兼藤コーポレーションをはじめ、協力会社に対して「共に顧客満足を目指すパートナー」としての関係構築を望んでいる。
◎関連リンク→ リコーロジスティクス株式会社
◎関連リンク→ 株式会社兼藤コーポレーションこの記事へのコメント
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