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    適正運賃収受へ「今が交渉の時」荷主にも広まる業界の危機

    2014年9月22日

     
     
     

     燃料価格の高騰というコストアップ要因に悩まされる中、人材不足の問題が深刻化しているトラック業界。このままでは、会社が立ちいかないと危機感を口にする事業者も少なくない。一方、荷主サイドも、こうしたトラック業界の人材不足や燃料費高騰に対し、理解を示す傾向も出てきている。荷主にも理解が浸透していったことで、運賃交渉の環境が整ったとの見方もあり、実際に交渉に打って出る事業者の姿も散見される。トラック業界にとって適正運賃収受に向けた絶好の機会と捉える向きもある中、事業者、そして荷主の実際の運賃交渉の現状を取材した。
     「昨年秋以降、段階的に運賃交渉を行っているが、荷主の理解を得やすい環境の中で、交渉に手ごたえを感じている」と話す、東京都江戸川区の事業者。同社では、運賃交渉によって、2割から3割の運賃アップが実施できたようで、「燃料コストの上昇分を運賃に転嫁できている」という。


     ただ、交渉はやみくもではなく、当然のことながら相手との関係を見極めた上で行っている。「普段からいい加減な仕事をしていれば交渉の余地はなかった」と指摘する同社社長は、「うちが撤退すれば物流が立ちいかなくなるという立場まで輸送品質を上げたことで、荷主との運賃交渉が可能になった」と振り返る。
     一方、埼玉県深谷市の事業者は、リーマン・ショックが発生した翌年から、荷主に対し運賃値上げを交渉してきたというが、これまではなかなか理解を得られなかったという。しかし、昨年から今年にかけてトラック不足が顕著になり、荷主が事業者の声に聞く耳を持つようになったという。そして今年7月、同社も含めた協力会社に対し一律で運賃アップが決定した。「まだ、すべてを転嫁できるだけの適正運賃とはいかない」というものの、「長い時間を要したが、ようやく荷主が理解してくれた」と安堵感を漂わせている。
     また、埼玉県志木市の事業者は、今年4月から運賃見直しの交渉を開始。約20社の荷主に対し、1kmごとの単価と1時間当たりの単価を算出。6%程度の運賃アップを提示した。「これで理解を得られなければ、その仕事は諦めるしかない。品質を落としてまで安く提供するのは荷主にも失礼になる」と、意を決して交渉に臨んだ。その結果、1社がだめという返事で、1社がすぐにOKとなった。そのほかの荷主は現在も交渉中だが、「思った以上に理解を得られているというのが率直な感想」と、同社長は手ごたえを感じている。
     北海道石狩市で食品輸送を手掛ける事業者も、「昨年から数百社に及ぶ荷主すべてと運賃交渉を行い、多くの荷主の理解を得られている。さらに、回りきれない荷主にはファクスで値上げの通知をしたが、これもすべてのんでもらえた」と、運賃交渉がうまくいっている現状を話す。
     また、同札幌市の事業者は、「一般紙などがトラック業界の厳しい現状をかなり報道するようになったことで、荷主の理解も広がった。新聞記事の切り抜きを持って交渉し、運賃アップにつながるケースもあった」と指摘する。同夕張郡の事業者は、メーン(元請け)の荷主に対し、今年初めて運賃交渉を行った。昨年と今年の原価計算表を作成して持参すると、荷主から「このような具体的な数字があれば、我々も上層部に運賃アップを言いやすくなる」と理解を示された。結果的に、5%程度の見直しが行われたという。
     トラック業界の抱える燃料高騰や人材不足の問題が、すでに荷主にも広がりつつあり、そういう意味で、今はまさに運賃交渉の絶好の機会といえる。ただ、すべてがうまくいっているわけではない。東京都足立区の事業者は「荷主の営業は、何銭という単位で他社と競合している。我々が一方的に『1000円上げてください』といっても、単位が大きすぎて現実味がない。かといって、何銭の値上げでは交渉の意味がない」と、運賃交渉の難しさを吐露する。
     一方、実際の荷主側はどう考え、どう対応しているのか。「2年前から運賃アップの要求が多くなっている」と話すメーカーの物流担当者は、「それまでは、拠点ごとの判断に委ねていた」というが、「要求の声が多くなったことで昨年、ここまでの値上げならOKという基準を作った」という。リーマン・ショック後の不景気で、一律5%の運賃カットを実施したという同社では「5%までは値上げに応じている」という。ただ、「要望のない事業者は従来通りの運賃のまま」で、協力会社同士でも運賃に差が出ているのが現状としている。しかし、「ドライバー不足で、協力会社に離れられては困る」というのも実情のようで、「要求には善処しつつ値上げは10%前後で妥結させ、何とかつなぎとめているのが現状」と話している。
     また、物流会社から要望があったということで、全社に対し運賃の見直しを行うというあるメーカーの物流担当者によると、値上げ要望として多いのは「燃料費」で、次いで「人件費」となっているという。7、8月は経過措置として個別に対応していくが、10月からは要請のあった事業者に対して、満額回答するとしている。「要望金額が妥当か否か調べればいいのだが、そんな暇がないのが実情で、燃料費に関しては契約時から比べて2割以上値上がりしているのは我々も知っている」とし、「細かいことをとやかく言うよりも、満額回答することで、きちっとしたドライバーに、きっちり仕事をしてくださいという気持ちでいる」としている。
     さらに、「値上げ要望の7〜8割程度に止めていたら、何かが起きた際、こちらも強く言えなくなる。物流事業者の要望は基本的にすべて受ける」と話している。

     
     
     
     
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