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    「無償」にしがち 付加サービスの料金は

    2014年11月13日

     
     
     

     一昔前まで、運送事業者は荷台から荷物を下ろすのに受取人の手を借りる、いわゆる「車上渡し」が基本だった。しかし、現在では運送だけでなく保管業務や荷役業務、商品の検品などもドライバーの仕事になっており、運送事業者の負担は増える一方だ。運送以外の仕事には「サービス料」が発生しているのだろうか。
     大阪府大東市の事業者社長は「時間外労働手当を支払わない『サービス残業』という言葉があるように、『サービス=無償』というイメージが定着してしまっている。本来、サービスとは、海外のレストランやホテルなどでチップを払うように、一定のサービスに対して対価を払うべきもの」と持論を展開する。


     同社長は「運送事業者が他社との差別化を図ろうとして、業界全体が悪い方向に進んでしまっているのではないか。当社としては、できる限り運賃に料金を足して請求している」という。
     また、「車上渡しを基本としている」と話すのは大阪市鶴見区の事業者社長。運送以外の仕事に関しては、必ず荷主に確認を取ってから作業に入るという。「荷主には、この作業を超えるものには追加料金をもらう、とあらかじめお願いしている。あくまでも当社は、物流のパートナーと思ってくれている荷主とのみ仕事をする」と、荷主を選定しているようだ。ただ、「日頃からの物流品質、信頼があってこそできることだと考えている」という。
     薬品の原料を扱っている大阪府豊中市の事業者社長は、「荷主の運賃値下げ要望がきっかけで、最初は運ぶだけだったが、今までは荷主がやっていた路線の手配や倉庫作業をするようになった。しかし、構内作業を増やすことで人件費が増え、採算が取れなくなってきた。荷主と交渉を重ねたが作業料を増やすことができず、原料の在庫管理まで行うようになった。荷主は製品だけを作ることになり、すべての物流業務を請け負うことになった。結果として採算が取れる料金を頂くことができた」というケースも。
     一方で、大阪市東淀川区の事業者社長は「最近は、フォークリフトに乗ってもらうことが当たり前になっているために、ドライバーにはフォークリフトの免許を取るように言っている。ほかの運送会社では、荷主がリフトの免許持ってないと仕事をさせないということを聞いた。今の荷主に相手にされなくなってしまうと経営が厳しくなるので、なかなか運賃に転嫁してほしいとは言えない」という。
     ある荷主とのやり取りを話すのは大阪府八尾市の事業者。「出荷作業をしていたが、荷主は作業料をくれることはなく、運賃も決して良くはなかった。かつて、リフトもないところで荷下ろしを強制され、次への仕事が遅くなろうが私たちには関係ない、と荷主に言われたことがある。運悪く最後に荷下ろしをした事業者は、その仕事だけでその日が終わってしまい、次の仕事に支障をきたしたと聞いた。長距離のドライバーは睡眠時間を削って走ってきているという認識が、荷主にはなかったようだ」と、憤りを見せる。
     運送事業者の立場が弱いと、仕事を切られたくないという思いから、どうしても荷主に要求されたことを「無償サービス」で行ってしまいがちだ。事業者が増え、サービスの差別化が進む中、「車上渡し」だけというのは、なかなか厳しい状況下にあるようだ。
     荷主側の作業を運送事業者が担うようになったのは、運送事業者にも責任はあるが、荷主側の「人件費、物流コストを減らしたい」という思いも一因のようだ。
     倉庫内での作業などは、万が一事故が起こった場合の責任問題で、取引停止の要因にもなりえる。ドライバー不足や労働環境改善が求められる中、どこまでが付加価値サービスなのか見直しが必要だ。

     
     
     
     

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