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物流ニュース
天然ガス車の普及検討 早稲田大学でシンポジウム
2014年12月15日
早稲田大学は10月23日、「天然ガス自動車普及戦略シンポジウム」を開催。「国土強靭化に向けての輸送用燃料の多用化と物流のさらなるグリーン化」をテーマに、365人が参加した。共催は日本ガス協会、東京ガス、天然ガス自動車フォーラムなど。後援は国交省、経産省、環境省、全ト協など。同大学の鎌田薫総長は「シンポジウムは産学官の連携を実現したもので、当大学が目指す取り組みそのもの。天然ガス自動車の普及と国土強靭化に向けた歩みが着実に前進することを期待する」と述べた。
基調講演では佐川急便の竹村章取締役が「物流企業の立場からの物流の事業継続について」と題し、CNG車約4000台を保有する企業として東日本大震災時の経験を交えて解説した。
国交省自動車局貨物課の秡川直也課長は「全国のトラック約110万台のうち天然ガス車は約2万台で、その約6割を占める零細事業者の普及は2%程度。ガスそのものの価格をいかに安くできるか、車両価格をいかに抑えられるか、それらを補助する制度をいかに作るか。これらがそろえば普及が進む」と解説。経産省製造産業局自動車課の伊吹英明課長も「普及するかどうかは車両価格、インフラ、税制度でのサポートなど経済性にかかっている」と述べた。環境省水・大気環境局自動車環境対策課の小野洋課長は、「自動車メーカーには性能の技術開発、ガス・燃料事業者には充填スタンド設備の効率的な配置、国にはそれらに係る導入支援や優遇措置を施し、荷主や運送事業者などのユーザーにはそれらの積極的な利用を期待する」と話した。このほか、国交省の西村明宏副大臣や初代国土強靭化・前防災担当大臣の古屋圭司議員も講演した。
パネルディスカッションでは同大学商学学術院の恩藏直人教授がコーディネーターを務め、パネリストの秡川課長、伊吹課長、小野課長、竹村取締役、いすゞ・大平隆執行役員、さいたま市環境局・高橋伸一郎課長、東京ガス・救仁郷豊副社長、東京工業大学・金谷年展特任教授が意見を出し合った。
金谷教授は「有事だけでなく平時も使えるものであること」と提唱。高橋課長は「平時に使えないものは有事には使えない。平時に使えなければ企業は入れてくれない」と、自治体でCNG車普及促進モデル地域第1号としての経験を話した。
シエールガスの輸入に関して、伊吹課長は「天然ガス車が普及しているのは産ガス国で、圧倒的に価格が安い。今後、シエールガスが入ってガス全体の値段が下がれば日本でも普及するだろう」と語った。
ガス供給側からは救仁郷副社長が「シエールガスが輸入されれば3割は安くなるだろう。しかし(輸入時は液体のLNGなので)供給するためのガス圧縮にコストが掛かる。LNG車の開発や海外車両が使えるようになれば走行距離の点でも良くなる。官民一体となって規制等の検討を期待する」と述べた。この記事へのコメント
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