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物流ニュース
心幸ホールディングス ニッチな業態保ち商物分離
2015年1月15日
昔ながらのやり方からの脱皮、そのときが物流を認識する始まりー。商流と物流の分離と一口に言えば古くからのテーマだが、中小の卸売業にとって、それは大きな冒険。企業や病院など、人が集まる建物の中で売店や食堂、自販機を運営する食品卸「心幸ホールディングズ」(山﨑忠社長、兵庫県尼崎市)は、そのニッチな業態を保ちつつも商物分離を成し遂げ、ここにきて事業範囲を拡大し続けている。
菓子、アイス、サンドイッチ、弁当、書籍・新聞…。同社の業務紹介ページには、街のコンビニ店舗で売れ筋の食品や雑貨類が並ぶ。だが、大手コンビニチェーンの店舗に商品を卸すのではなく、納品先は企業や病院といった特定の人が利用する売店だ。売店側の利便に応えるため扱う品数も増え、今では300社以上から3500種類を仕入れる。仕分け後は西日本を中心とした約530の売店に卸す。
取締役で営業本部の久保誠司本部長によると、仕分け後の物流を自社便から切り替え、全面的に運送会社を使い出したのは昨年暮れごろから。残る自家用配送車は今では2台だけ。自社便体制について久保本部長は、「営業マンが納品を兼務する昔ながらのやり方では、提案営業など本来の仕事で中途半端になっていた」と説明。
同社は戦後間もない1949年の創業から一貫して企業内売店に絞った活動に特化してきた。2005年、初めて直営による売店を大手運送会社内に設置。直営店は西日本のみならず全国に展開させ、現在では約110店へと急成長させてきた。
「直営店ができたという事業展開は経営上のイノベーションだった。自分たちで利益を作って行くんだ、と」。久保本部長は、売店への卸業務だけではどうしても弱くなりがちだった特定の取引先卸業者などの名前を挙げながら、そうした取引先への対抗策という意味も直営店にはあったと振り返る。
この間、卸と直営とを問わず、売店を置きたいとする企業の実態を把握し、コンサル業務もするようになった。その一つが昨年から始めた企業内の社員食堂運営だ。
「お昼ごはんの影響って大きいんでしょうね」。久保本部長は、物流センターや、その建物を管理する大手事業者の悩みの一つは、従業員が辞めてしまうことや、テナント業者の撤退にある、とも。
「食堂にやってきた従業員に、くじ引きをしてもらい、当たれば食後のデザートがもらえるとか」。久保本部長のそうした考えは、企業の人材難を福利厚生面からバックアップしようという発想だ。
昨秋、新社屋も完成するなど、第二の創業期にもあたる勢いの同社。配送店舗数も日々変わるなど、物流網の管理も重要な業務だ。物流を全面的に委託し、「運送会社にはフレキシブルな対応を求めたい」と話している。
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