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物流ニュース
エー・シー・トランスポート 「チームゴリラ」5人の挑戦
2015年5月14日
2月22日に読売ホール(東京都千代田区)で行われた第2回トラックドライバー甲子園アワード。若手運送事業者によって組織されたドライバー・ニューディール・アソシエーション(D.N.A)が、「ドライバーを憧れの職業にする」という使命のもとに立ち上げたプロジェクトだ。
エー・シー・トランスポート(池永和義社長、埼玉県戸田市)に所属する「チームゴリラ」の5人は、D.N.Aが用意する5か月間の研修プログラムに参加し、この日を迎えた。中心となった40歳の大久保淳さん、30歳の渋谷拓さん、28歳の福島孝行さんの若手ドライバー3人を、佐藤浩司さん、石川瞬さんの2人の管理者が支えた。福島さんと渋谷さんは、昨年のトラ甲を観て「壇上でプレゼンするドライバーはすごいと圧倒された」と振り返ると同時に、「自分たちがやるなんて無理」という感想を抱いていた。そんな彼らに、同社の池永社長は「やってみろ」と半ば強引に参加を勧めた。
気乗りしない2人と「観ていなかった自分は、何が始まるのか理解もしていなかった」という大久保さんは、「仕方なく研修に参加した」と率直に話す。自己分析やメンバーそれぞれの強み、課題を分析し、参加チームごとに発表を行うという初回のプログラム。
「最初から発表させられるなんて」と戸惑うばかりで、ほかの参加チームからは1歩も2歩も引けを取っていた。その日、「次はあっと言わせてやろうと思った」と渋谷さんは言う。皆の負けず嫌いな性格に火が付いた。
毎月行われる研修では、与えられた課題に基づいて、各チームが作成した活動計画の進捗状況を報告する。「安全・品質」や「洗車・清掃」のほか、「面接」「ありがとう」「プレゼン」という課題に対して、いつ、誰に、どのようにするかを具体的に決めて社内で活動する。「荷待ち時間に報告をまとめたり、空き時間にどうしたらうまくいくかと考えを巡らせていた」と大久保さん。限られた時間の中で、それぞれが活動に費やす時間を必死に作っていた。
「ほかのチームに負けたくない気持ちがあったし、それぞれが得意な分野でフォローしあったからこそ続けられた」と振り返る福島さん。自身が率先して取り組んだのは「プレゼン」だった。毎回の発表、そして最終プレゼンを経て壇上チームに選ばれた彼ら。「発表することで、自分を客観的に見られるようになっていった」と言う。
「活動を通して変わったのは、自分自身」というチームゴリラの面々。「もともと意見を言うタイプだったが、押し付けになっていたところもあった。自分を抑えられるようになった」と言う渋谷さん。「愚痴を言うだけではなく、それを一歩引いて眺め、解決法を考えるようになった」という大久保さん。自分自身への気付きが変化をもたらし、結果的に周りの社員たちを変えていった。
池永社長は「1人の優秀な社員がいても会社は変わらない。チームで取り組むところに活動の意義がある」と分析する。「自己完結ではなく仲間に発信すること、さらに意見を出し合い、よりよい方法を探っていく活動そのものが周囲を巻き込む力を生む」。5人それぞれが気付きを得て成長したと話す同社長。「自分だけよければ…ではなく、皆で良くなろうという意識を育てる社員教育が大切」とし、「そのためには、経営者自信が常に学び、変化しなくては」と話す。
チームゴリラのプレゼン活動、そして壇上でのプレゼンを観て、「次は自分が出たい」という志願者が既に出てきている。優秀な個人プレイヤーではなく、会社組織を良くしようという視点で成長する社員が育つ土壌が、着実に醸成されている。
◎関連リンク→ 株式会社エー・シー・トランスポートこの記事へのコメント
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