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    ワコール流通 輸送ルート多様化に取り組む、バーゲン品を鉄道輸送

    2015年7月15日

     
     
     

     ワコールグループで物流業を手掛けるワコール流通(滋賀県守山市)では現在、トラック輸送から鉄道輸送への切り替えを進めている。これまで国内輸送はすべてトラックで行っていたが、BCP(事業継続計画)や環境への配慮から、輸送ルートチャネルの多様化に取り組んでいる。牧邦彦社長に、モーダルシフトへの取り組みの現状などを聞いた。
     同社ではモーダルシフトを昨年の4月から開始した。牧社長によると「一昨年の夏から調査に入った。一番大きな要因は、2011年の東日本大震災の時に、私はワコール本体の総務部長という立場だったが、750人くらいの安否確認対象者がいて大変な思いをした。その後、現職に就いて、何かあったときに国内輸送をトラックだけに頼っている現状は良くないのではと危機感を持った」という。「災害時、JR貨物にも脱線のリスクはある。しかし、去年の2月の南岸低気圧による豪雪では、東名など主要な幹線道路は止まったが、JR貨物は動いていた。そのとき『やはり二つ、三つのルートチャネルを持っておかないといけない』という思いを強くした」と振り返る。


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     一昨年の秋に、首都圏の百貨店のバーゲンセール商品で鉄道輸送のテスト運行をスタート。不備も出ず、大丈夫と判断し、昨年の4月から本格的に使い始めた。
     現状、鉄道輸送はバーゲンセール用の商品に限られているが、同社長は「本当は毎日のように使いたいが適したダイヤがないので使えない」と残念がる。「当社の流通センターからの出荷が午後4時ごろ。百貨店の納品代行業者の倉庫に、どんなに遅くても夜中の12時に入れる必要があるのだが、ダイヤがないため貨物駅からの横持ちの時間なども入れると届かない」という。
     「だったら、荷物をまとめられてコンテナ2〜3本の計算がつき、納品日の融通が効いて、何週間も前から準備できるバーゲンセールの商品をあてよう」と結論づけた。百貨店の大規模なバーゲンは主に半年に一度、4〜6月もしくは9月後半から11月にかけて行われる。「JR貨物が忙しいのは真夏や、11月後半から1月にかけて。バーゲンの時期はJR貨物のちょうど閑散期だから、双方にとって都合がよい」と説明する。
     昨年4月の本稼働から現在まで、首都圏を中心に92店舗(百貨店)、ケース数で2万8300箱(商品枚数は220万枚)、トラック換算(10トン車)で95台、コンテナ台数82基分をトラックから鉄道に移した。今のところ荷崩れや商品が汚れたなどの問題も起きていない。環境面では、トラック輸送と比較してCO2排出量は約8分の1に削減されている。
     首都圏の大規模店舗からスタートしたが、今後は小、中規模にも拡大する予定。2015年度中に、首都圏のバーゲン品に関しては混載なども使って、ほぼ全て鉄道輸送に移せると考え、コンテナは最大164基まで拡大すると予測する。
     「コスト的にもメリットが出ており、一番安いチャーターのトラックよりも若干安い」というが、「モーダルシフトをやっているというのを内外に発信できるのが大きい。さらにBCPを考えたとき、JR貨物と付き合いを深めているほうが何かと対応していただける」と同社長。今は首都圏中心で今後、九州や北海道への拡大も考えているが、「運送会社のことや、規模が首都圏に比べて小さいので荷物を集めづらい」ため、ハードルが高いと考える。
     さらに、まだ調査段階であるが、フェリーなど内航船の活用も視野に入れ、「内航船で北海道および南九州、沖縄に運べないか」。ただ、「我々には実績がないので、荷量の問題、安定的に出せるかどうか課題も多い。船会社としても、あまり軽量なモノを扱ったコトがないと思う」ので、慎重に調査して、実現できそうならテストを始めたいという。
     その他、トラック輸送では共同配送に注目している。同社は現在、トラック輸送では路線会社13社と取引しているが、「これからは共同配送や調達系のコンテナの共通化、あるいは異業種と組み、合同コンテナやラウンドユースなどに取り組んでいかないと、日本のロジ構造はもたない」と指摘。「単体でコストを下げるのは無理だし、荷主だけが『安くなった』と喜ぶようなレベルの低い時代は過ぎ去った。荷主も喜ぶし、輸送会社側も良かったと思えるようなウィン・ウィンの関係じゃないとうまくいかない」と語り、トラックドライバー不足や拘束時間の問題についても、荷待ち時間をなくすなど荷主の協力が不可欠だと考える。
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