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    特車通行許可制度 待たれる簡素化

    2015年5月26日

     
     
     

     国交省は、道路の老朽化対策に向けた大型車両通行の適正化方針を打ち出した。その中で、車両の大型化が進んでいる現状に即し、許可手続きを簡素化する一方、悪質な違反者に対しては厳罰化することを示している。しかし、道路によっては通行許可手続きがなかなか簡素化されない現状もある。現場では「通行許可が出るまでに3か月を要することもあり、仕事にならない」「違反かもしれないが、間に合わないので許可申請中ということで仕事を進めている」といった声も聞かれる。スムーズに業務をこなしたい事業者側と、道路の劣化を防ぎたい国の攻防の中で進む厳罰化だが、現状では、正直者がバカを見る状況も垣間見られる。
     狭い道路で大型車を通行させたり、一定の大きさや重さを超える車を通行させたりするときは、道路管理者の許可を受けるよう道路法に定められている。これが、「特殊車両通行許可制度」である。例えば、総重量20トンまでの車なら基本的に国内の道路は許可の必要なく走行できるが、それ以上になると道路管理者の通行許可が必要になる。道路の劣化が懸念されるためだ。


     国交省によると、重量を違法に超過した大型車両が道路橋の劣化に与える影響が全交通の約9割を占めているとして、道路を守る観点から違反車両の撲滅を目指している。一方、グローバル化や効率化の中で車両の大型化が進む中、許可基準の見直しや許可手続きの簡素化を進めている。
     経済的規制緩和を進める一方で、社会的規制を強化する姿勢を打ち出しているが、現場からは正直者がバカを見るとの批判も聞かれる。
     千葉県の事業者は、「道路によっては通行許可を取るのに3か月も要するため、それに応じた予定を組まなければならない」という。同社の場合は、荷主の理解を得ていることもあり、許可を取得した上での輸送がほぼできている。しかし、突発的に出る仕事に関しては、当然のことながら許可が間に合わない。そのため、「まず申請を出して、許可が出る前に仕事をこなしてしまうケースも出てくる。厳密にいえば違反になるが、許可を待っていたら仕事にならない」。
     一方、埼玉県の事業者は大型の増トン車を保有するが、「いちいち通行許可を取得していては仕事にならない」とし、許可を取得せずに走行することが少なくないとこぼす。大型増トン車は、新規格車として総重量20トンをオーバーするため、道路によっては通行許可が必要になる。「許可が出るまで待ってくれと荷主に言ったら断られるだけ」と本音を漏らす。同社は違反覚悟で走行しているケースが圧倒的に多い。
     こうした違反車両がまだまだ走行する現状に対し、国交省道路局道路交通管理課の北澗弘康課長補佐は、「そうしたケースがあることも耳にしている」と認めた上で、「現在、手続きの簡素化を進めており、期間が短縮された路線も多い」と指摘する。
     国交省では現在、手続きの簡素化を進めるため主要道路情報のデータベース化を進めているが、全道路約125万kmのうち、国が管理する道路は、わずか約2万3000kmで、高速道路を加えても約3万3000km。そのため、データベース化には都道府県などの地方自治体の協力が不可欠になるが、協力姿勢は必ずしも一致しておらず、協力的とは言えない自治体も存在している。さらに、申請の多い道路であれば登録も進めやすいが、そうでない道路は登録が難しい。そのため、どうしても道路によっては通行許可の取得に時間がかかってしまうのだという。
     国交省では今後、道路の劣化状況をみながら手続きの簡素化を進めるともに、25トンまで許可なしで走行できる道路の拡大を順次進め、車両の大型化へ対応していく。一方、違反者への厳罰化に対しては、平成25年3月から呼び出しによる是正指導に、常習的な違反者へは告発を実施(措置命令4回または是正指導5回で告発)するとしているが、北澗課長補佐によると現在、呼び出しまでで告発に至ったケースはないという。
    ◎関連リンク→ 国土交通省

     
     
     
     

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