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物流ニュース
愛知県 車両・バッテリーの盗難事件が多発
2015年8月20日
「戦々恐々としている」――。そう話すのは愛知県の運送会社社長。多発する車両・バッテリー盗難を受けてのコメントだ。一時期と比較して被害件数が減少してきた印象もあったが、ここにきて増加傾向に推移しているのが気になるところだ。防犯装置を設置するなど対策を強化している事業者も近年は増えているが、一部では事業者の防犯意識の低さを指摘する声も聞かれる。
愛知県・尾張地方の運送事業者では5月27日の深夜、4トンのユニック車が積み荷ごと盗まれるという事件が発生した。
事件前から、この地域や県内の他所で高級4WD車やイカリング(ヘッドライトに組み込む輪型の発光器)などの部品を含む車両盗難が起こっていたようだが、事前に所轄の警察からの呼びかけや警告などの注意喚起はほとんどなかったという。しかし実際は、同社社長の知人が外国人窃盗集団による車両盗難未遂に遭遇するなど、不穏な動きはあったようだ。同社長が警察に質問すると「そういうことはHPに載せている」とのこと。盗られた責任は自分…としながらも、「警察などの関係団体からの注意喚起があってもいいのでは」と話す。
今回の犯行では、「積み置きをしてあるトラックをピンポイントで狙われた可能性が高い」と同社長は推測する。「敷地には3台停めてあり、その中でも4トンの新しい車両があったが、それは狙わずに古いユニック車が盗難に遭った。積み置きをしていたトラックを盗られたことから、事前に下調べをして、用意周到に作戦を練っていたように思える」といぶかる同社長。
被害額は2000万~3000万円以上と予想され、「保険をかけてはいた。しかし、限度額まで出たとしてもとても足りない。筋は違うと思うが、額が額なので荷主企業の方でも保険を使ってもらえないかとも考えている」と話す同社長。金額のすり合わせも含め現在、荷主側と補償を交渉中だという。
今回の事件以前にも車両をストーキングしてくる不審者の話はあったという。車両のスケジュールを綿密に調べ、人がいない時間を狙った手口は共通している。
愛知県の車両盗難数は全国でもトップクラスだ。同社長は、「また、これから盗難が頻発するのではないか」と危惧しており、同業者に注意喚起の呼びかけをしているという。
一方で、盗難件数が激増の一途をたどっているのがバッテリーの盗難である。特に、同県の西三河地方で頻発しており、警察の発表による最近の発生状況を見ると、安城市6件、西尾市7件、高浜市2件、碧南市1件、岡崎市3件、豊田市1件となっている。警察としても注意喚起しているものの、具体的な防犯対策を指示するまでには至っていない。
昨年の4月、5月に被害に遭ったという同地方の運送事業者に話を聞くと、「1年が経過したが、まだ犯人は捕まっていない」と捜査が難航している状況を説明。
昨年の被害当時を振り返り、「人気のない休日にやられた。バッテリーそのものの盗難も痛いが、何よりも運行に支障が出ることが一番の痛手。バッテリーは放電するから在庫ができないこともあり、便の遅い車両からバッテリーを付け替えたり、ディーラーや知り合いの自動車整備会社にあるものをかき集めてきた」とし、バッテリーの補充や防犯カメラ、新たなフェンスの設置など、数百万円のコスト増になったという。
同県の別の事業者は「バッテリーは取り外しが簡単で、買い取り業者が直に買ってくれる。一時期は寒冷地にバッテリーが流れていたとも聞いたことがある。バッテリーの持ち込みで鉛の価格はキロ65円ぐらい。いい小遣いかせぎになるのだろう。買い取り業者にとって、盗品かそうでないかは関係ないからね」と話す。
また、別の運送事業者は「県内の◯◯(地名)には大掛かりな専門業者が多数集まっているようで、コンテナいっぱいにバッテリーを積んで海外に輸出するようだ」とし、暗躍する犯罪集団の存在が見え隠れする向きもある。
同県の防犯対策・セキュリティの専門店「防犯館」の新田大和統括マネジャーに話を聞いてみた。
「運送会社からの防犯対策の相談は年々、増加している。まずは会社の中で防犯意識を持つこと。『カメラ作動中』と表記したシールを貼るなど、小さい部分からの行動が必要」とし、「セキュリティシステムは各社によっても違ってくるので、弊社のような専門家に相談していただき、会社にとって最適な防犯対策を築いてほしい」と呼び掛ける。この記事へのコメント
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