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物流ニュース
書面化の法制化訴え 手原運輸 安田社長
2015年8月8日
長時間労働が、いまだに常態化している運送業界。さらに2019年4月から、中小企業に猶予されている月60時間超えの時間外労働に対する割増賃金が、これまでの1.25倍から1.5倍に変更となることを受け、今後、事業者は対応に追われることになる。そんな中、長時間労働を是正し、荷主との輸送の効率化を目指すため、「運送契約の書面化」の法制化について声を挙げた経営者がいる。
手原運輸(滋賀県野洲市)の安田昌生社長は、6月に大津市で行われた「地域経済懇談会」に滋賀県中小企業団体中央会の代表として出席。内閣府の西村康稔副大臣などに書面化の法制化を訴えた。安田社長は「長時間労働問題を解決するために、書面化の法制化を推進し、荷主に強制的に順守してもらうのが有効なのではと考え、直接、公正取引委員会が外局となっている内閣府に訴えた」と話す。
安田社長は昨年6月、同中央会の副会長に就任。運送業界の実情を知ってもらいたいと、地域の防災の観点での道路インフラ整備や地域経済の話とともに、運送契約の書面化の法制化について発言したという。
運送契約の書面化について、安田社長は「荷主に理解を得られないと、業界は反対していた。今後、トラック適正取引推進パートナーシップ会議が開かれ、地方でも協議会が発足しているが、長時間労働是正の一つに書面化の法制化が議論されるべきではないか」と、訴えたという。
同パートナーシップ会議では国交省・厚労省をはじめ、関係行政機関やトラック業界、荷主企業・団体などが参加し、割増賃金適用までの約4年間で、長時間労働是正のために備えていく予定だ。
安田社長は、「パートナーシップ会議では2017年以降、『長時間労働改善ガイドライン』の策定・普及が行われる予定で、同ガイドラインと労働時間縮減のための助成事業が、今回の長時間労働抑制の取り組みの落としどころになっている」と述べ、そのうえで「ガイドラインではなく、あくまでも法制化が重要」と指摘する。「過去に国交省が『トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン』を通達したが、荷主勧告が実際になく、機能していない」ことを説明したという。
「書面化の法制化を訴えたのは、割増賃金が欲しいからではなく、荷主とともに本気で物流の効率化を進めていくためで、業界に存在するグレーゾーンをなくし、長時間労働を是正するためにも、法的に義務づけることが重要」と持論を述べた。
安田社長は「西村副大臣からは『検討する』という言葉をいただいた。今後も、さまざまなつながりを生かし、業界のことを発信していきたい」とコメントしている。この記事へのコメント
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