全ト協が発表したトラックドライバーの賃金と労働時間の実態調査の結果では、男性運転者の１か月平均賃金は３６万３００円で前年から７.４％増、年間賞与の１か月平均額を加えた月額では４０万４１００円（６.３％増）となった（既報）。

兵庫県伊丹市の運送事業者は、「一昔前より給与額を５万円以上増やして求人している。それに合わせ在籍しているドライバーの給与も調整した。会社に余裕があるわけじゃないが、そうでもしないと新しいドライバーは入ってこない」と語る。

神戸市中央区の運送事業者は、「物価高に合わせてドライバーの給与を上げた。一生懸命働いてくれるドライバーやその家族に不自由があってはいけない」と語る。一方で、「会社に余裕はなく、暫定税率撤廃が現実味を帯びて希望を持っていたが、軽油引取税は対象外と聞き、我慢の期間が続くと腹を括っている」と語った。

神奈川県川崎市の運送事業者は、「出た利益をドライバーの給料にきちんと還元することが人材流出を防ぎ、人手不足による倒産の波に巻き込まれないかに関わってくる」と指摘。「荷主に運賃を上げてもらえればドライバーの給料に上乗せできるが、他社と比べられ、乗り換えられるリスクもある」とも。「あらゆるコストが上昇していることは重々承知しているが、『まず運送費から値下げ』という風潮を改めることが、われわれ運送事業者にとって最優先すべき課題だと思う」。

大阪府四條畷市の運送事業者は、「零細企業では給料を上げるのは難しい」と断言。「当社は労働時間などにもきちんと配慮して運営しているが、一方で利益を優先し、法律を守らない会社も存在する。そうした会社をもっと厳しく取り締まるべき」と語る。

滋賀県彦根市の運送事業者は、「仕事を増やして売り上げを確保したいのは山々だが、いかんせん求人への応募がないため、トラックを遊ばせている状況」と嘆く。「当社は周りの運送会社と比べて高齢のドライバーが多いこともあり、ますます事業を縮小せざるを得ない」とし、「応募がないのも会社に魅力がないからだと言われてしまえばそれまでだが、なんとか世代交代を進めていかなければ」と語った。