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    整備士不足顕著に 10年間で専門学生半減

    2016年1月6日

     
     
     

     トラック業界と同様に、かねて人材不足が指摘されてきた自動車整備業界。特に、トラック整備にかかわる人材の不足が顕著で、そのなかでも若年者の不足が深刻だ。現場では「これまでは突発的な故障などの修理も、トラックディーラーに持ち込めばすぐに見てもらえた。しかし現在は、『人材不足で即対応が難しいため、事前に予約の連絡が欲しい』と言われた」との声も出ている。今後、さらに整備士不足が進めば、トラックの整備に今まで以上の時間がかかり、事業経営にも影響が及ぶのではないかと危機感を持つトラック事業者もいる。
     整備業界は、従業員10人以下の企業が約7割を占めており、ディーラーを含めた業界全体の7割が将来の整備要員不足を懸念しているという。国交省によると、平成15年からの10年間で、整備専門学校の学生数は半減しており、そもそも、整備士を目指そうという若者自体が激減している状況だ。さらに、整備を志した若者のほとんどが乗用車の整備を希望しており、トラックの整備士不足はさらに深刻な状況にあるという。


     実際に、首都圏の運送事業者を顧客とするトラックディーラーの営業担当者は、「整備士不足は4メーカーともに共通の課題」と指摘する。同社では乗用車とトラックの整備を分けて人材確保を行っているが、求人が少ないながらも乗用車には希望者がいるものの、トラックの希望者は圧倒的に少ないという。
     同担当者は、「大型車に使われる部品、タイヤなどは扱うだけでも重労働。重い、汚い、キツイ、さらにガソリンよりもディーゼルはにおいがきついと言う人もいる」と、その理由を説明した上で、整備士不足の現状について、「トラック業界で若者のドライバー離れが進んでいるように、整備士の業界でも同じことが起きているのではないか」と指摘する。 この状況が続けば、「人材不足から、修理や整備により長い時間を要することになる」とし、「実際に工場内では人手不足から修理にかかる時間が長くなり、一部の地域では納期にも遅れが生じている」と、すでに影響が出始めていることを明かす。
     加えて、新規採用に人員が集まらず人手不足が深刻化する一方で、トラックディーラーに持ち込まれる故障案件が増加しているという課題もある。「高度なコンピューター制御のエンジンが市場投入されてからは、ディーラーでしか対応できない修理も増加している」のがその原因。故障増加が人材不足感に拍車を掛けている側面も否定できない。
     こうした現状に、ディーラー側では専門学校や短大との関係強化を図るだけでなく、整備士資格を持たない高校新卒者を採用し、OJTと資格取得支援で整備士へと育てる動きもある。本来、トラックの整備に携わるには「ディーゼル2級」相当の知識と技術が必要というだけに、このやり方は、人材の囲い込みを優先した対策だといえる。
     また、整備士の不足で整備工場の納期が長期化することを見越して、自社独自で整備士を雇用し、工場を構えようとするトラック事業者の動きもある。
     このように整備士不足への対応を模索する動きはあるものの、ドライバー不足で車両の稼働率が問題視されている業界にあって、整備士不足によっても、事業者の売り上げに直結する車両稼働率の低下が懸念されている。

     
     
     
     

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