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物流ニュース
鳥貴族 1000店舗視野、物流改善に着手
2016年3月8日
全品280円均一という低価格でありながら、「国産国消」への挑戦を掲げ、高品質な料理を提供することで評判の居酒屋系焼鳥屋チェーン・鳥貴族(大倉忠司社長、大阪市浪速区)。1985年に1号店を開業して以来、飛躍的な成長を遂げ、2015年12月末現在で大阪、東京、名古屋を中心に444店舗を展開している。2021年には国内1000店舗の達成を掲げ、その先には2000店舗、さらには海外進出を目指す同社の常務で商品部ディレクターの青木繁則氏に、低価格・高品質を支える同社の物流への取り組みについて聞いた。
同社の食材の流れは、現在、25道府県の養鶏場、44処理場と契約を結び、各養鶏場から処理工場に出荷され、処理工場で鳥を解体して、規格の商品に仕上げる。その処理場から大手荷受け(販売会社)に送られ、さらに鳥貴族の物流機能を備えるパートナー的存在の仲卸に届けられる。青木常務は「鳥貴族は物流を持っていない。仲卸さんが荷受けさんから商品を購入して、そこで小分けや加工をして、各店舗に納品される」と、仲卸が倉庫・物流センターの役割を果たしていると説明。仲卸は関西3社、東海、関東各1社と取引しており、「各社とは昔からの付き合いなので、強い信頼と絆で結ばれている」という。
鶏肉に関しては100%国産を使用(全ての食材を合わせても97.5%が国産)している同社。美味しさの秘訣は「冷凍ではなく冷蔵品として扱っている所」と同常務。「処理場で解体されて荷受けさんを経由して仲卸さんに入り、店舗に届くまで冷凍されることなく、冷蔵品のままである」という。「鶏肉の品質は早ければ早いほどいい。鳥貴族の場合は解体されて2日、早ければ1日で仲卸さんに入り、タイムラグが少ない」。
さらに、同社では店舗のスタッフが包丁で鶏肉をカットして、一本一本串に刺している。「加工センターで、一括で串に刺して配送するのではなく、お肉の塊の状態で店舗に配送して、それをカットして刺している。とても非効率であるが、食感やジューシーさなど全然違ってくるので、そこが鳥貴族のこだわりであり、他の外食店との差別化につながっていると思う」と胸を張る。
仲卸から各店舗へは、仲卸の自社便を使う場合と運送会社に依頼する場合があり、仲卸に任せている。「いずれにせよ品質の確認は徹底しており、継続取引のため定期的に作業場やトラックをきちんとチェックし、お客様への安心・安全を担保している」。1台当たり10〜15店舗に届け、店舗数の拡大に合わせて配送ルートを見直すほか、専属便が増加傾向にあるという。
同社では、今後1000店舗をめざすに当たっての課題として、「店舗が増えても希少部位などをきちんと安定供給できるよう、仲卸さんと共に産地や処理場に足を運ぶなど協力して取り組みたい」。一方で、生産者や処理場の関係者を同社に招いて、鳥貴族を体験してもらうことにも努めている。「店の雰囲気や、自分の商品がどのように扱われているのかを知ってもらい、喜んでいただく。顔が見えたほうが励みにもなるし共有できることも多い」とし、「逆に、店舗を統括しているマネージャーらを処理場などに見学に行かせて、解体や加工の様子を学ばせる。それにより商品に対する責任感が増す」という。
希少部位の安定供給のほか、時間内での店舗への納品も課題に挙げる。店舗内で串に刺す作業などがあるので、開店までに、仕込みに3〜5時間ほどかかる。そのため、店舗のスタッフが出勤するまでに納品される必要がある。「納品は『デイゼロ』。深夜に店舗ごとにWebで発注をかけて、その日の正午までに納品しなければいけない。商品がないと営業できないので、これが絶対条件」とし、1000店舗になってもきちんと届けられる体制づくりを進めている。
また、運送業界と同様に、外食産業も人材不足が深刻化しているが、「店舗スタッフの確保が大変。今の時代、単に時給を上げたら集まるというわけではなく、やりがいや、認められたいなどの気持ちを重視する傾向にあるので、魅力のある職場環境に取り組んでいく必要がある」と力強く語る。
◎関連リンク→ 株式会社鳥貴族この記事へのコメント
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