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物流ニュース
鳥居運送 ISO39001で従業員に変化
2016年7月15日
明治29年、摂津紡績(現ユニチカ)の専属運送店として発足した鳥居運送(鳥居俊彦社長、大阪市東住吉区)。鳥居氏は大学卒業後、ユニチカに就職して製品の企画営業を担当して繊維業界について学び、28歳で鳥居運送に入社。平成22年に5代目社長として、父である鳥居正俊氏(現会長)の後を継いだ。
創業以来、輸送、保管、荷役業務を遂行する同社。繊維メーカーや製紙メーカーを主要荷主とし、倉庫は大阪、愛知県豊橋市、同岡崎市、京都府宇治市の4か所に構え、総延べ床面積は約8400坪を誇る。大阪の倉庫は高天井で、相当な重量にも耐える堅牢性が自慢で、さらにコンピューターを駆使した立体自動倉庫システムを採用しており、在庫管理の効率化と短納期を実現している。
また、大阪の倉庫および本社はJR百済貨物ターミナル駅に隣接し、通運業も展開。現在は新潟からの紙輸送などで活用しており、鳥居社長は「人材不足で長距離ドライバーが足りない現状では、ハードルは高いが、モーダルシフトをもっと展開していきたい」と話す。
安全への取り組みを積極的に進め、平成25年には宇治、岡崎、江津の各支店で、道路交通安全の国際規格であるISO39001認証を取得。「39001はドライバーを巻き込んでPDCAを回すので、安全に対する意識やレベルの向上につながっている。ドライバー同士が安全について話し合い、気をつけ合うように変化してきた」とのことで、「上場企業と新たにお付き合いする際、認めてもらう証しにもなり、取得して良かった」と効果を実感。福井営業所での取得も考えている。
さらに、デジタコはほぼ全車両に導入し、クラウド化して全社的にデータを取り込んで運行管理している。ドラレコの導入も進めているほか、衝突軽減ブレーキなど安全に関わるものは積極的に採用。何年も事故は起きておらず、自動車保険の等級は最高レベルに達している。
人材育成については、「今の時代、トップが動いて何事も決めるようではダメ。最前線で働いている人こそ主役である」と、ドライバーには常に言い聞かせているが、長年に渡って固定荷主がついているので、どうしても気が緩みがちになる者がいるという。「30~40年と働いている人の意識を変えるのは難しい。そういう意味でも39001の取得で気を引き締めることができた」。
働きやすい環境づくりも積極的に進めていく姿勢だ。「例えば、ドライバーだけでなく奥さんも健康診断を受けられるようにするとか、業務効率化のアイデアを出した従業員に社長賞を与えるなど、明確にウチで働きたくなるようなメリットづくりを考えていきたい」とし、「社員満足度を高めると従業員に余裕が生まれ、お客さんのちょっとしたことに気付くようになる。結果的に顧客満足度も上がり、自社の成長にもつながる」と展望する。
従業員の意見、情報を採り入れて、さらに良い業務を行えるシステムを構築する。また、ITを活用して管理コストを軽減し、そのカット分を従業員に還元する方針を掲げる。「祖父は『何千万円の利益を出すなら、トントンでもいいから従業員にボーナスを出す』と常に言っていた。父は社長時代、『和のもとに顧客満足』という経営理念を掲げた。私もそれらの精神を受け継いでいきたい」。
倉青協に入って約15年。「会員のパワーがすごくて内容が濃く、刺激を受けている。皆さんよく似た悩みを抱えているが、ノウハウを隠さず教え合い、実りのある集まりだと言える」。さらに、東日本大震災のときや、今回の熊本地震でも、救援物資の輸送など倉青協として迅速に対応。「今年で47歳になるので、あと3年で倉青協を卒業しなければいけない。寂しい思いもあるが、卒業までまだまだ共に学んでいきたい」と語る。
事業においては、「紙にしても繊維にしても、長い間支えてもらってきた。既存のお客様については引き続き、これまで以上にしっかりやらせてもらい、この先、新しいことにもチャレンジしていく」と意気込みを語る。
◎関連リンク→ 鳥居運送株式会社この記事へのコメント
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