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物流ニュース
ムロタ社労士事務所 室田氏「労働時間管理の改善を」
2016年7月27日
運送業界では残業代の未払いによるトラブルが後を絶たず、労働時間の管理に頭を悩ます経営者も少なくないが、「運送事業の労働時間管理専門コンサルタント」であるムロタ社会保険労務士事務所(大阪府東大阪市)の室田洋一氏は、「多くの事業者はデジタコデータなどを使って改善基準告示を意識はしているが、一方で残業代が発生するということを考えていない。厳密な労働時間を考えないと問題は解決しない」と話す。
運送会社で働くドライバーについて室田氏は、「自分のペースで仕事ができるからドライバーという仕事を選んでおり、時間で管理されることを望んでいない」と指摘。業界が、そうした「運転者気質」を口実に時間管理から目を背け、売上給という安易な給与支払いを続けてきたことが、残業手当不払いの申告を多発させている要因と言い切る。「運転者任せのデータでなく、会社で管理しないといけない」とし、会社として、まず、出勤時間(点呼開始時間)を指示することが残業代不払いをなくすための「入り口」だと説明する。「会社がきちんと指示することで仕事内容が濃くなり、短い時間できちんと働くようになる」。
室田氏の指導で、半年かけて労働時間の管理を改善した事業者に話を聞くと、「以前は、給与体系は売り上げに対する歩合給だったが、室田氏の指導により今は時間で出している」とし、「これまで、ウチもドライバーとの間で、いつかトラブルが発生するのではと不安だったが、改善したことで道筋ができ、悩みがなくなった。これだけきちんと出せたら、ドライバーと揉めることもないだろう」と安堵の表情。「これまで、『彼は真面目に働いてくれているから多めに支給しよう』など、ドライバーへの配慮が強いゆえに、歩合給では鉛筆をなめてしまっていた。運送業は、製造業のように、なかなか国の指示通りに給料は算出しにくいが、室田氏は運送業に特化しており、強い味方になってくれた。さじ加減で決めてはいけないことを学んだ」と話す。
室田氏は、「社内の改善だけでなく、荷主との交渉も大切。最低賃金さえ出せないような運賃もある。荷主のダンピングにノーと言える理屈を作る。世の中を変えていくために、現場から声を出していかないと…」と、業界だけでなく社会全体の問題だと訴える。
労働時間(残業時間)算出の手順として同氏は、1日の所定労働時間(残業時間)、年間休日、変形労働時間(残業時間)制導入の有無などから算出されると説明。同事務所では簡単に算出することを目標にして、「勤務時間管理のエクセルシート」を作成。コンサルティングは、そのシートを使い、各運転者の労働時間(残業時間)を把握し、月間の勤務計画を作成する。労働時間(残業時間)が算出されることにより、基本日額や月額を設定すれば賃金算出も可能であり、歩合給との調整がシート上で可能となる。
◎関連リンク→ ムロタ社会保険労務士事務所この記事へのコメント
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