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    ドライバーの「心の健康」 メンタルヘルス対策

    2016年12月6日

     
     
     

     労働者の心の健康対策として昨年12月に開始された「ストレスチェック」。50人以上の従業員がいる事業所に義務づけられている同制度だが、対象とならない中小・零細企業でも対岸の火事ではすまされないようだ。労働者の精神疾患は交通事故と同様、賠償問題に発展すれば経営の根幹を揺るがす新たな火種となりかねない。トラック運送業界も労働者の目線に立ち、規模の大小を問わず本格的なメンタルヘルス対策が求められる。
     今年7月時点で業種を問わない200人未満の企業を対象に行った調査では、実施率が20.6%にとどまっていることが、メンタルヘルス対策を手がける会社の発表で分かった。トラック運送業では、「50人以上の事業所」に当てはまらず、義務のない事業者が多数を占めるが、精神疾患で医療機関にかかる患者数は、今や「現代の国民病」といわれる糖尿病よりも多い。
     ストレスチェックは年1回の実施が義務付けられ、制度開始から1年に当たる11月末までに初回を実施しなければならない。前述の調査によると、ストレスチェックの実施率は平均33.8%だったが、調査結果を見ると規模が小さくなるほど下がっている。1000人以上が半数だったのに対し、200から499人が27.2%、200人未満では5社に1社だった。
     また、今後の予定として、外部に委託するか自社で実施するか決まっていないうえ、実施の時期も決まっていない企業の割合は、規模が小さいほど準備が遅れている傾向にある。中小企業ではストレスチェックにかかる費用や人員に余裕がないことが、普及が進まない主な要因ではと考えられている。


     同制度の対象外となる大阪市内のトラック運送事業者は、「近年、精神障害での労災認定が増えている話はニュースなどでも耳にする。万一、社員が精神疾患にかかり、会社が対策を講じていなければ、裁判ともなれば会社側が敗訴する。会社の責任で精神疾患になり自殺などした場合は、会社に求められる補償は億単位にもなるそうなので、中小企業では補償金だけで経営が危なくなる」と危機感を抱いていた。
     実際に、長時間労働によるうつ病で自殺した社員について、会社側は社員の状況を把握していながら措置をとらず、安全配慮義務違反があったとして、会社は約1億7000万円を両親に支払う内容で和解した判例のほか、会社が精神疾患の兆候が出ていた従業員を、無断欠勤を理由に解雇し、裁判所が「不当解雇」と判断し、会社に約1600万円の支払いを命じられた判例も見受けられる。
     ストレスチェックという制度以前に、社員の精神状態の把握は企業にとってもはや必須事項だ。うつ病などの精神疾患を抱えている社員が乗務につくと、周りを巻き込む大事故につながりかねない。
     精神疾患と運転免許については、昨年6月から道路交通法が改正され、統合失調症やてんかんなど、一定の病気のある場合は更新時に質問が行われる。虚偽の回答をした場合は1年以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられる。また、交通事故を起こした運転者が一定の病気などに該当すると疑われる場合は、専門医の診断による取消処分を待たずに、3か月を超えない範囲で免許の停止措置も行われる。
     社会的にメンタルヘルスが大きく取り上げられる中、大手損保会社は、10月から中小企業の従業員が精神疾患で退社した場合などに対応する保険の販売を開始する。退職金に100万円を上乗せする商品や、会社が訴訟に備えて弁護士などに相談する費用を補償するという。
     こういった会社を守る保険も登場しているが、何よりも大切なのは日々の業務の中で社員の精神疾患を未然に防ぐことだ。
     メンタルヘルス不調の社員や休職者への対応については、休職・復職時の対応も重要だが、そうした状態に陥らせないための日頃の労働時間管理、さらにはストレスチェック後の職場改善が重要だ。50人未満の事業場がストレスチェックを実施する費用を支給する助成金などもあるが、いまだ浸透していないのが現状で、企業規模に限らず、より実施しやすい制度に整えるべきではないだろうか。

     
     
     
     
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