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物流ニュース
トワード 友田健治社長「売上100億円突破へ」(下)
2017年3月31日
多温度帯物流における共同配送という独自の仕組みを構築できたことで、「請負型ではなく、売り込み型の商品開発となり、これが広がれば、中小企業による全国配送網ができるのではないか」。同社長は内心、そんな夢も描いていた。
しかし、現実はそんなに甘くはない。何しろ、仕組みを構築するには、ハブとなるセンターが必要で、センター建設にはまとまった資金が必要となる。同社長の考えに共感しても、センター建設に投資する事業者がいない。センターに投資するリスクを背負わなくても、運送だけで十分に食べていけた時代だった。
幸い九州では、同社がハブセンターを開設したことで、共配がスタートできた。参加事業者が1台ずつトラックを出し合って、共同配送を手掛けるということからスタートしたが、営業がなかなかうまくいかず、5社5台で始めた共同配送の初日の荷物は、カゴ車が3本という惨めな結果だった。
しかし、共同配送のメンバーを窓口として大手ファストフードチェーンの仕事を受諾できたことで、状況は一変する。大口の荷物をベースカーゴ(共同配送において、管理コストの負担や利益は望めないものの、運行の基礎となる貨物)として確保できたことで、平成6年には軌道に乗り、その後も勢いを増していく。営業活動と共に荷物が集まるという好循環が続いた。こうして1台のトラックで、それぞれの温度管理をしながら同時に運ぶという、多温度帯同時物流における共同配送は成功をおさめた。ハブセンターを運営する同社もその波に乗り、同社自身も売り上げを伸ばしていった。共同配送はピーク時の勢いこそないものの、しっかりと定着し、根付いている。この多温度帯物流の共同配送が、同社の営業ツールともなり、「今も大きな強みになっている」と同社長は指摘する。
大竹氏と出会って鮮度管理を学び、ハブセンターを建設し、多温度物流の共同配送をスタートした同社。当時の売り上げは年商12億円だった。その後、吉野ヶ里町のハブセンターを1800坪に拡張。平成14年には福岡に延べ床3000坪の多温度帯の鮮度管理ができるセンターを開設するなど事業拡大を図るとともに、平成17年に東京都港区に事務所を開設し、東京進出を果たす。
食品のリサイクル事業や情報システム事業にも参入し、経営の多角化を図り、平成23年には社名をトワード物流からトワードに変更する。同年の同社の売り上げは、年商48億円になっていた。
年商の3倍の借金を背負いながら、倒産すれすれで事業を営んでいた小さな運送会社が、鮮度管理と出合い、多温度帯同時物流の共同配送を手掛けたことで、大きく成長し、直近の売り上げでは、年商70億円を超えた。多温度帯物流の先駆けとして、地元九州で確固たる地位も築いた。
「子会社であるトワードセントラルを何とか軌道に乗せる」とし、首都圏で4000坪の倉庫を運営する子会社を健全に成長させることを、今後の課題と口にする同社長は、地元九州、そして首都圏を軸に、事業拡大を図っていく構えだ。当面の目標として、「今のお客様を大事にし、サービス品質の向上や、新たなニーズに対応し、売り上げ100億円突破を目指す」としている。
【会社概要】
本社=佐賀県神埼郡吉野ヶ里町三津166ー13▽設立=昭和26年1月11日▽資本金=2億9500万円▽営業拠点=九州ハブ低温物流センター(吉野ヶ里町)、福岡低温センター(福岡県宇美町)、トワードセントラル(神奈川県愛川町)▽従業員=434人(パート含む)▽年商=70億2000万円(平成27年度)
◎関連リンク→ 株式会社トワードこの記事へのコメント
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