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物流ニュース
不特定多数から資金調達「クラウドファンディング」
2017年4月24日
中小・零細企業において、資金繰りに悩まなかった事業者はいないだろう。金融機関に融資を申し込むのが一般的だが、インターネットで不特定多数に資金援助を申し込む「クラウドファンディング」で事業資金を調達する企業が増えている。ドローンを使った離島への貨物配送システムは、当初はクラウドファンディングによって資金を調達していたという。運送事業者でも、地域活性化の社会貢献活動にクラウドファンディングを使って資金を調達する動きも出てきている。
クラウドファンディングには一般的に三種類ある。寄付型、金融型、購入型で、寄付型は出資者へのリターンがなく、金融型は金銭的なリターンを伴う。購入型は支援額に応じて金銭以外の商品やサービスを受け取るというもの。クラウドファンディングを仲介する国内大手Readyfor(レディーフォー)では、「当社が提供しているのは基本的に購入型。一部、自治体や学校を対象に寄付型を展開している」という。「購入型の場合は目標金額を設定し、達成できなければプロジェクトは中止。達成した場合、プロジェクトに賛同した支援者は、クレジットカードや振り込みで出資する」という。
実行されたプロジェクトが成功した場合、「必ず(どのようになったか)成果を報告していただく」という同社。支援者は完成した商品などを手にすることでメリットを得る。「ある地域では、支援者がその地域に来た際、ガイドをするというものもある」と、支援者が得る対価はさまざまだ。また、金融型の場合は、支援者は金銭的なリターンを受け取ることができる。
実行されたプロジェクトが失敗した場合はどうなるのだろうか。「当社では事前に三度の審査を実施しており、失敗しないようにしている」という。「当初の予定より縮小する場合、支援者に報告して理解を得る。『絶対にダメ』という支援者がいれば、返金することもある」という。同社では手数料として支援額の17%を受け取っている。
運送事業者の中でもクラウドファンディングに取り組む事業者が増えてきている。
貨物運送事業に加えて、地域社会への貢献や地元の女性を元気にする事業を展開している流通(鳥取県倉吉市)。「鳥取県の女性を元気にするママが癒される無料イベント」や、昨年、発生した鳥取県中部地震で地元に少しでも貢献しようと「僕のわたしの聖地in鳥取中部フォトコンテスト」を開催している。「自分たちが身近に感じている困りごとや旅行のキャンセルが相次いでいることから、地元の写真を地元の人間がオンタイムでアップすることを考えた」という。
クラウドファンディングを利用したのはママが癒される無料イベント。「もともとは自主イベントだったが、私たちの趣旨に賛同してくれる支援者がいないかと思いチャレンジしてみた」という。「結果は残念に終わったが、同時に進めていた同じ地域の会社にスポンサーをお願いし、多くの方に賛同していただいた。次はどういう形でチャレンジしていくかわからないが、クラウドファンディングは手段の一つだと考えている」という。
今春に次世代「島国型」ハイブリッド無人物流プラットフォームの実証実験を予定している、かもめや(香川県高松市)。高松市沖の離島において、本土~離島間は無人航空機(UAS)または無人輸送船(UMV)を、また離島の港から各家庭までは無人輸送車(UGV)をそれぞれ用い、発送元から配達先までを繋ぐという。同社も最初の実証実験では、前出のREADYFORのクラウドファンディングなどを利用して資金が集められた。無人海上貨物輸送実証実験などの実証実験の費用111万6000円が集められたという。同社はREADY FOR OF THE YEAR 2015「READY FOR Local CHALLENGE」を受賞している。この記事へのコメント
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