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物流ニュース
中小企業こそ健康経営を 当然の「リスク管理」
2017年8月7日
従業員の健康管理は企業のリスク管理として、経営者は企業の目標の達成のために、社員一人ひとりの健康づくりに先頭を切って取り組まなければならない時代となっている。
厚労省発表の「平成27年度『過労死等の労災補償状況』」によると、平成27年度の貨物自動車運送事業に占める脳・心臓疾患の請求件数は181件(前年度比13件増)、支給決定件数は96件(同4件増)で、いずれも全業種のうち1位だった。こうした事態を喫緊の課題と受け止め、全ト協は今年7月から、経営者や運行管理者に対するドライバーの健康管理の啓発を目的に、関係団体主催による「過労死等防止・健康起因事故防止セミナー」を全国で開催する。講師に、陸災防本部の安全管理士や産業保健総合支援センターの相談員である医師を招き、健康関連では、過労死予防のポイントとしてドライバーの健康管理法を説明するほか、定期健康診断の実施と活用、メンタルヘルス対策についても講義を行う予定だ。
全ト協はこれに先駆け、全国から募った産業保健総合支援センター相談員74人に3月11日、担当講師養成研修会を開催。トラック業界を取り巻く経営環境、労働環境、過労死などの分析結果についての事前教育を行うなどの準備をしてきた。
国交省の「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル(平成22年7月策定)」の改訂に合わせ、全ト協は平成26年に「トラック運送事業者のための健康起因事故防止マニュアル(平成28年1月改訂)」を策定。平成28年の改訂は、同省が平成27年に「自動車運送事業者における睡眠時無呼吸症候群対策マニュアル(平成15年3月策定)」を改訂したことを受けて対応したものだ。以降、労働安全への意識は高まりつつあるが、疾病発生の裏にある、食事や運動不足といった日常の問題に対する理解は一部にとどまっていた。
現在、都道府県ト協を経由して運送事業者に血圧計を配布し、血圧計の導入効果検証を行っている。さらに、ドライバー個々のデータを経年管理できるような「健康管理フォローアップシステム」の構築を手掛けており、「定期健康診断を受診して終わり」「結果を見ても、どう読んだらいいかわからない」という現状を打開しようとしている。
全ト協の永嶋功常務は「健康が脅かされれば、事故リスクは高まる。大事故が1件起きた場合の社会的影響は大きく、業界全体にも大打撃をもたらすことになる。健康リスクは企業リスクと理解し、できることから取り組んでみてほしい」と話している。
◎関連リンク→ 公益社団法人全日本トラック協会この記事へのコメント
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