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物流ニュース
ハーブスグローイング 自社便100%の理由
2017年9月13日
運送事業者に所属するプロドライバーがいる一方、メーカーの物流部に所属するプロドライバーももちろん存在する。製造元が、どちらの形態をとるかは様々だが、メーカー内のドライバーも自社の戦略に従い、日々努力を続けている。今回は製造メーカーでありつつ、商品を安全・確実に提供し、商品受け渡しの時まで、しっかりとブランドを守れる配送を行うため、企業理念を理解し、共感できるドライバーの自社便100%に尽力するハーブスグローイング(名古屋市)へ輸送におけるモットーを聞いた。
同社では「ハーブス」「アンティコカフェアルアビス」で販売されているケーキや焼き菓子、ドルチェの製造を行っている。ハンドメイドとフレッシュネスを追求したカフェである「ハーブス」は、全国で34店舗展開しており、同店のケーキは全て自社ファクトリーで手作りしたものを扱っており、冷凍保存せず、冷蔵車で新鮮そのままに当日配送している。
同店のケーキは添加物を極力使用していないため保形性がないデリケートな商品だ。急発進や急ブレーキでくずれやすく、車間距離の保持と安全速度の維持は必須。配送時間に関しても、ファクトリーを出てから約60分程度で配送が完了するよう徹底している。同社物流部長は「安全で、フレッシュなおいしさを、そのまま商品として提供するには、高品質な輸送体制が不可欠」と物流の重要性について述べる。さらに「配送を担当するドライバーは、当社の理念を理解している必要がある。だからこそ、自社の物流部ドライバーでの配送を行っている」と力説する。
このような輸送品質追求のため、物流部スタッフは担当する専用の配送ルートを割り当てられる。ルートは、わだち、段差など商品を傷付ける要素を考慮した会社独自のルートだ。新人ドライバーは、熟練スタッフが同乗する研修を受け、また研修修了後も毎日、特定のルートで配送を積み重ね、技術を向上させていく。
物流部係長は「ほんの少しの衝撃で商品が傷つき提供できなくなることがあるため、輸送には非常に神経を使う。他の運送事業者でプロドライバーとして勤務経歴を持つスタッフからも同様の声を受ける」と話す。
同社物流部では、全ての商品を店舗へ直接手渡しするまでを配送業務としている。スタッフは専用のユニフォームを着用し、自社のロゴプリントとカラーリングが施された配送車は、同店の顧客からも広く認知されている。店頭に並ぶ顧客の行列を横に業務を行う際など、顧客の期待をじかに見ることができる。仕事の成果を間近でみられる環境の半面、ドライバーへも相応の注目が集まる環境でもある。物流部長は「ドライバーがお客様から注目されている自覚を持つよう教育を続けている。ユニフォームや配送車のカラーリングもその一環。物流部スタッフは商品を店舗で手渡しするので、お客様からも注目を浴びる。お客様の前に出る以上、最初から最後までプロでいることが求められる」と配送とブランドイメージの結びつきを話す。
さらに同社には衛生品質管理担当が存在しており、配送でも衛生と安全が保たれているかを毎月チェックしている。こうした日々の取り組みもあって現在、配送車の小さな傷にも修繕の必要確認が自主的にスタッフからあがってくる。その他にも自社のブランドを意識した活動が各所に見受けられるようになった。
このように、ハイクオリティな配送を求められる物流部では、一人当たりの配送を毎日2便程度で抑え、全員の帰社時間が遅くならないよう配車を調整するなど、スタッフの健康を保ちながら業務ができるよう対策を講じている。毎日朝礼での健康確認では、アルコールチェックや体温のほか、自分や家族の体調不良による吐き気の有無など、商品とドライバー両方を守る質問項目を独自で設けている。
こうした体制を構築しているハーブスグローイングの物流部だが、今後は人材育成に力を注ぐことを課題とする。物流部長は「特定の業務ができる人材を増やすために、今後は教育制度を一層充実させ、業務負担を振り分けていきたい」と話している。この記事へのコメント
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