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物流ニュース
城北運送 オートボディプリンターで新事業
2017年9月26日
城北運送(愛媛県松山市)の久米正信社長は、美大出身で公務員を15年経験という異色の経歴を持つ。現会長である叔父の後を継ぐ前提で同社へ入社。「運送のことは本当に何も知らなかった」と笑う。
入社後は、ドライバーとして現場を見て回り、大型免許や運行管理者、危険物取扱者など、「取れる免許や資格は手当たり次第に取った」。経営に関しては前代表からのレクチャーを受けつつ、「最終的には代表者として会社を動かす」という信念で、現場のことだけでなく、経営には欠かせない数字まわりの知識も習得した。
「敷かれているレールに、とりあえず乗ってみようという気持ち」と、当時を振り返る同社長。「企業の後継者は、先代との葛藤や、対外的な問題なども抱えつつ、みんな同じ道を歩んできているのではないか」とし、「何百年も同じことを継続するのは難しい。いろんな可能性を考えて、進んで行く力を持っておかねば」と力を込める。「時代も変われば、顧客ニーズも変わる。その中で何をしていくべきなのかを考えるのが経営者としての舵取り。ドライバー不足や環境の変化など課題は山積みの状況だが、一つでも良い方向に持っていくのが社長の仕事」
同社では、未来を見据えた一手として、エルエーシー(東京都町田市)が開発・販売するオートボディプリンターによるペイント事業をスタート。四国では初の導入となった。「運送事業に『何かプラスαを』と考えていた時に出合った」。もともと美術畑にいた同社長は、同製品を「現状を打破するきっかけ作りになりえるツール」と感じ、実際に見に行き「直感で決めた」という。
導入間もない今年3月には、地元テレビ局の開局25周年イベントのPR広告を自社車両にプリント。車両は通常業務を行い、その走る姿がPRとなった。
9月末から始まるえひめ国体のPRにも協賛。2トン、4トン、大型の各車体に、地元の美術系の専門学生が制作したデザインをプリントし、県内外で同国体と松山市をアピール。6月9日にお披露目式も開かれた。
順調に推移している同社の新事業だが、「当然ながら、はじめは社内の反発もあった」という。しかし、「荷主や他社のドライバーに『すごいなぁ、派手だけど良いなぁ』などと褒められると、喜んで帰って来るようになった」とし、「自然と安全運転になり、車両もピカピカにするようになった」と目を細める。「『人から見られている』と意識するのは、何よりの安全教育と実感している」
今後は、自社車両だけでなく、他社車両へのプリントサービスも提供していく構え。そのために、「対外的なアピールのために、ホームページやフェイスブックなども整備していく」と展望し、「運送事業とプリント事業をうまくつなげて、広く展開していきたい」と意気込む。さらには、「いつか『あの車に乗りたい』と思ってもらえるように」と、リクルート効果にも期待する。
「タイミングがうまく合えば、いろんなことができるはず」と、新事業に無限の可能性を見いだしている同社長。「トラックを買うのとは違い、勇気がいる大きな投資だったので、お金はもちろん生み出して欲しいが、ドライバーに『乗っていて楽しい』と思ってもらえるだけでもプラス。業界のイメージアップに少しでも貢献できれば」と語る。
◎関連リンク→ 城北運送プリント事業部TRART
◎関連リンク→ トラックデザイン通信この記事へのコメント
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