-
物流ニュース
ウィルポート 宅配ボックスで新しい地域物流
2017年10月24日
ウィルポート(東京都港区)は、日本宅配事業推進協会(同)と連携し、軽トラを利用した地域物流の新たな仕組みの普及を目指している。慢性的な人手不足が叫ばれ、「物流版ウーバー」を提唱する企業が出始めている中、同社の取り組みは、物流業界にどのような影響を及ぼすのだろうか。城山憲明取締役に話を聞いた。
「運送に携わる軽トラは一人親方の個人事業主を中心に15万社、25万台にも上るが、簡単に開業できるため、受注から配送までのフローがわからないまま仕事を始めるドライバーもいる」と同氏は指摘。「下請けにとどまらず、孫請け、ひ孫受けなどが横行しているのが現状。ドライバーが搾取されている状況を打破しなければならない」と語気を強める。
そこで、同社と同協会が編み出したのが、地域ごとに荷物をまとめて管理し、登録ドライバーとマッチングする仕組み。「通常の10分の1の価格の、特許を取得した無電源の宅配ボックスを自販機のように商店やコンビニの軒先に置く計画で、ドライバーは、この宅配ボックス宛に荷物を届けることで効率化が望める」と説明する。
ドライバーは同協会に登録し、研修を受けることができる。同氏は、「研修でスキルを可視化し、適正な運賃でマッチングしていく」と話す。
ユーザーは会員制で、送り主は届け先の地域のデポ宛てに荷物を送り、受取人は地域内に複数ある宅配ボックスから受取場所を指定できる。同氏は、「女性は自宅に届けられることに抵抗を感じることもある。自分の好きな時間に取りに行けることで、待たずに済み、ユーザーにとってもメリットがある」と話す。宅配ボックスには、データ通信できる機器も設置し、「開け閉めや荷物の有無などが把握できる」
「これまで、個人宅への配送では、『再配達』という課題があったが、宅配ボックスでの荷物受け渡しで解消される」と同氏は推測。また、個人向けの宅配ボックスも販売する予定で、「荷物を取りに行くことが難しいユーザーにも利用いただける」としている。
「再配達の問題がなくなれば、主婦や学生が空いた時間に数時間だけ働くことが可能になる」と、新たな物流の形を模索する同氏。「物流の現場には、改善の余地がまだまだある」とし、「宅配ボックスが普及すれば、理想的な配送の実現がぐっと近づく」と語る。
「とにかくドライバーの過酷な労働条件を変えなければならない」と使命感を燃やす城山氏。「大手と同じことはできない。そうであれば、中小の事業者にしかできないことをすればいい」と発想を転換。「サービスの形が『顔と顔を合わせて』という時代ではなくなった」という新時代の到来に、軽貨物ドライバーだった自身の経験を生かして立ち向かっていく。
◎関連リンク→ ウィルポート株式会社この記事へのコメント
関連記事
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ