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物流ニュース
サントリーロジスティクス 課題をみんなで共有、物流業界の底上げを
2018年2月2日
飲料・食品メーカー系物流子会社など7社が安全・品質・環境などの情報を共有し、共通課題の改善に向けた安全施策の向上、現場力向上のための人材育成研修などを実施する企業横断的な組織である「物流技術研究会(物技研)」。参加する7社に研究会での取り組みや自社での活動、今後の物流業界などについて話を聞く。1回目は同会の会長会社でもあるサントリーロジスティクス(大阪市北区)安全推進部の町田慶太理事に話を聞いた。
「物技研の発足は物流子会社数社が安全に特化した研修のネットワーク団体を作ろうとしたことがきっかけになった。当時は安全対策について1社で対応することが困難だった背景がある」という町田理事。「メーカーの物流子会社として、やるべきことをしっかりとやろうということで、現在の7社に声が掛かった。最初は配車担当者の勉強会から始まった。そこからどんどん広がって、ドライバーやリフトマン、配車マンなど現在では1000人を超える人が研修を受けている」と説明する。
「現在の物技研のスタイルは『各社が抱えている課題をみんなでひもといて共有しよう』という考え方。研修はどんな会社でも来ていただいて構わない。同じパレットを使い、同じカートを使って、同じ会社に運ぶことが多い物流子会社が集まっているので、課題も同じことが多いということが判明した」と振り返る町田理事。「ライバル会社同士が一緒になって課題解決に向けて話し合っている姿は、他の業界からすれば驚きのようで『そんなことが可能なのか』と言われたこともある。来年1月にはステップアップコンテストという改善事例発表大会を実施する。物流の現場力を高めることが目的で、審査するのは各社の社長達。各社の団体も優勝を狙うチームや真面目にコツコツするチーム、ユーモアたっぷりのチームもある。各社によって目的はさまざまで、カラーがある。面白い発表会となって毎年、すぐに時間がたってしまう」と笑う。
「物技研でルールを決めてスタンダードにできればとの思いもある。トラックドライバーによっては、午前中にサントリーの荷物を運んで、午後からキリンの荷物を運ぶというドライバーも増えている。企業間でルールが違えばドライバーにも負担になる」という町田理事。「7社で研修をすることで、設備の不備をなくすことにもつながる。業界の底上げをすることが狙い。サントリーロジスティクスとしても、独自の研修に物技研で得たノウハウを反映させている。今年までに自社の研修がほぼ終了したので、来年からは協力会社に展開したいと考えている」としている。
「協力会社の研修に当社のドライバーを連れていって、指導させる。協力会社のレベルも上がるうえ、そのドライバーにも『手本を見せた以上、絶対に事故は起こせない』という意識が生まれる」と指摘する。同社の協力会社は約250社。「例えば、7社のうちでも、うちの協力会社を使っている会社がある。1社で改善依頼をするよりも、同じ協力会社を4社が使っているのなら、その4社で改善依頼をするようにし始めた。その方が効果は出やすい。もちろん、改善するための教育プランは提供する」と力を込める。
町田理事は今後の物流業界について「物流業に夢を持つ人材が入ってきてほしい。ライフラインの95%を物流業界が担っているにもかかわらず、地位や給与も低いままになっている。物技研には『底上げをやりたい』という思いを持っている人ばかりが集まる。研修を通じて自分の仕事に愛着を持ってもらいたい」と説明。「プロのドライバーとして気付かなければならないことを、私たちの手で気付かせるようにしたい」と話している。
◎関連リンク→ サントリーロジスティクス株式会社
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