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    進む物流自動化 人材不足で「避けて通れぬ道」

    2018年1月31日

     
     
     

    人手不足に悩まされている物流業界が、解決策の一つとして急激に進めているものに物流の「自動化」「ロボット化」がある。人材がいない以上、自動化は避けては通れぬ道と言える。自動化を進めることで、物流効率化につながり、長時間労働をなくすことができるという面も持っている。現状、実用化されている技術は「省人化」されるものだが、技術革新はそれ以上の「無人化」も見据えている。今回は物流の自動化の最前線を調べた。

     

    「人の手の梱包と比較して、約10倍の生産性向上が可能。自動梱包から送り状の発行、貼り付けまでの作業をすべて自動で行う」と話すのは、ヤマトロジスティクス(東京都中央区)の本間耕司社長。このほど同社厚木ゲートウェイ(神奈川県愛甲郡)に導入された「三辺自動梱包機」が発表された。同社では「今後、深刻化する労働力不足などの社会的課題や、ますます拡大するEC市場へ対応するため、物流全体におけるデジタル化・自動化の積極的な検討を進める」という。

     

    同ゲートウェイではデジタル化も進んでいる。ピッキング作業に音声システムとウェアラブル端末を導入。在庫を抱え込むのではなく、必要分を入庫するため、毎日の仕分けを単純化するためにデジタル化は欠かせないという。同社では「今後も自動化の波は止まらない」としており、同作業現場でも「いままでは生産性の把握は作業が終わった後でしか確認できなかったが、デジタル化によってリアルタムでわかるようになった。どれだけ作業が進んでいるか把握することで、作業の平準化を進めることもできる」という。

     

    大和ハウス工業(大阪市北区)のグループ会社であるダイワロジテック(旧SCSホールディングス、東京都千代田区)は、eコマース分野に強みを持つアッカ・インターナショナルを買収した。同グループでは「最先端技術を物流領域に導入することで、効率化・自動化が可能な物流プラットフォームをトータルサービスで提供し、社会全般に貢献することをめざす」としている。

     

    同社の関係者は「今後も倉庫・センターの自動化を進めていく。企業の核は人。人を育てなくてはいけないが、人がいない以上、自動化を進めていく必要がある」と指摘。「物流分野は今後も伸びていく分野だと考えており、いままで以上に力を入れていくことになるだろう」としている。

     

    エバラ食品工業とグループ会社のエバラ物流は11月15日、栃木工場敷地内に新栃木物流センターを建設、稼働させた。同社によると、「製品搬入からパレタイザーによる積み付け、自動搬送台車での自動倉庫への搬送・保管までの工程をすべてオペレーション化し、省力化を実現。自動倉庫に加えて平置きスペースも同時活用する機動的な運用を図ることで、作業性を向上させると同時に、お客様の要望にスピーディーに対応する効率的な物流体制を構築した」とする。

     

    同社の東日本エリアの拠点である栃木物流センターの機能を強化することで、栃木工場の生産体制と連携した保管・配送能力のさらなる向上をめざしており、保管能力は従来に比べて約1.4倍に向上する。

     

    運送事業者にしても、荷主サイドでも、人手不足が事業継続を脅かしているという事実がある。特効薬的な解決方法はなく、自社や業界の自動化・ロボット化を進めていくしかない。自動化の波は、ますます加速していく。

     

    「社会インフラ」として自動化、ロボ化を進める

     

    いままでは人の力にしか頼れなかった倉庫内作業のピッキングや荷積み・荷下ろしなどの作業が、ロボットに任せる時代になるという。それを可能にするのが知能ロボットコントローラーメーカーであるMUJIN(東京都墨田区)。同社のPR&HRマネージャーである山内龍王氏に話を聞いた。

     

    「この国の物流に貢献したい。社会インフラとして物流の自動化・ロボット化を進めていきたい」と話す山内氏。国内の産業で一番自動化が進んでいるという自動車産業でさえ、自動化されている工程は全体の5%ほどだという。同氏によると、「ロボットメーカーごとに操作方法がまったく違う。さらにロボットに作業を覚えさせる『ティーチング』が難しいことと、とにかく時間がかかっていた。このことで、なかなかロボットの普及が進んでいなかった」という。

     

    サイズや形状の異なる、少量多品種の物が流れる倉庫内でのピッキング作業を、ロボットに動作を「ティーチング」して自動化することは非常に困難で、「物流では不可能だ」とも言われていた。製造業のばら積みピッキングなどの工程では、ティーチングに1年以上を要することも普通にあるという。しかもレイアウトを少し変えるだけで、ティーチングは一からやり直しになる。

     

    しかし、MUJINのロボットはそのティーチングを必要としない。ロボット自身が商品の場所や形を認識し、考えて自律的に動く。これで箱の中にバラバラに置かれた商品をピッキングさせることも可能となった。同氏は「トラックコンテナからの荷物の積み下ろし作業である、デバンニングも現在開発中なので、それが実用化されれば、物流の上流工程から下流工程まで一気通貫で自動化することも可能になるだろう」という。

     

    同社は中国ネット通販2位の京東集団(JDドットコム)から依頼され、世界初の完全自動化倉庫の自動ピッキングシステムを開発した。同倉庫は建設に7か月しかかからなかったというから、中国のビジネスのスピード感には驚かされる。「現在、物流の自動化という分野では、日本よりも中国の方が先を行っている。国内にはない完全自動倉庫が中国にあるわけだから。日本国内の物流自動化の普及を、スピード感を持って進めなければ、世界にもっと差をつけられてしまう」と危惧する。

     

    「国内の労働人口は減少の一途であり、その労働力を補完するには自動化・ロボット化しかない」というが、「すべてのことができるわけではないし、ロボットはパフォーマンス的には人間の6割から7割程度だろう。しかし、人間と違いロボットは365日・24時間働けるし、辞めることもない。長期的に十分な導入メリットがある」と語る。

    ◎関連リンク→ 株式会社MUJIN

     

    (日時表記等は「物流ウィークリー」紙面掲載時のものとなります)

     
     
     
     

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