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物流ニュース
クレームを招く 宅配業務の煩雑化
2018年2月8日
「ヤマト運輸がアマゾンから撤退」の知らせが話題となってから、ずいぶん経った。しかし、依然としてアマゾンからの荷物が絶えないのが現状で、事業者から苦情ともとれるエピソードが聞こえてくる。
名古屋で軽貨物事業を営むA氏は「過去にアマゾンの仕事をしていたドライバーが在籍していたが、割りに合わない仕事だったので辞めたと聞いた」と話す。内容を詳しく聞くと「自分が担当していた区は3人ほどしかドライバーがおらず、1日に100㌔㍍近く走るのは珍しくなかった。しかし、肝心の荷物は100件ほどしか配れなかった」と教えてくれた。
こうした話のほかにも、アマゾン側のデータ不足を指摘する声もある。元大手物流企業関係者のB氏は「以前に在籍していた所では顧客ごとの配達データを集積していたため、『どこの誰に配達』と推測できたし、クレーム防止にも役立てられていた。今は、再配達対策はもちろん、ささいなことでもクレームにつながるので、こうしたデータなしでは、クレームは避けられないのでは」としている。
こうした話を裏付けるようなエピソードを教えてくれたのは、過去に別の大手物流企業に勤めていたC氏。
C氏は「偶然、受け取り人の義母が玄関に出たばかりに、指定時間外の配達を行ったドライバーがクレームとなった。受け取り人は、義母に化粧品を買ったのを知られたくなかったので、時間指定をしていたという。『なんのために時間指定をしたと思っている』とお叱りを受けた」と話す。他にも「各支店のデータ共有ができておらず、繁忙期に普段担当していない県の配送を準備なしでやらされた」など、宅配ドライバーの苦労を伝えている。
しかしC氏は、こうした企業側の体制に苦言を呈しつつも、「宅配業の問題は、もっと別のところにあるのではないか」と分析する。
C氏は「例えば、地域の宅配をメインにしている軽貨物専門のデリバリープロバイダーは、小さい企業も混在している。倉庫も住宅地の中の小さな物置と見間違えるような所もあり、効率的な配送を組み立てる管理能力など期待できない。また、同様の規模では経営を続けるために劣悪な仕事であっても断れないという話を、しばしば聞く。それだけ立ち場やリソースが弱い」とし、「地域の宅配を担う個人事業主が、安い運賃で手間のかかる配送をすることになる。もちろん中抜きで運賃が安くなるケースもある」と分析。「これでは、宅配業務に就こうという人手は増えないのでは」と話している。
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