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物流ニュース
荷主の理解が不可欠 運送約款改正の趣旨説明
2018年3月1日
「今後のドライバー確保や、会社の運営そのものが危惧される状況にある」「(長時間労働などによって)万が一、事業停止処分という事態になれば皆さん(荷主)にも大きな迷惑を掛ける」——。新見商工会議所(岡山県新見市)で14日、荷主企業の関係者を集めた「標準貨物自動車運送約款の改正にともなう説明会」が開かれ、主催者としてあいさつした林田昌吾・岡ト協副会長(井倉運輸)はトラック運送業界が直面する厳しい経営環境を訴え、岡山運輸支局の担当官らも昨年11月4日に施行した改正約款によって「どこが、どう変わったのか」を具体的に説明するなど、安全運行に向けて荷主関係者の理解と協力を求めた。
代表的な地場産業である石灰を扱うトラック事業者らが中心となって企画し、岡ト協・備中地域協議会の傘下にある備北分会(林田分会長)の主催として実施したもの。開催に当たっては岡ト協本部を経由して、岡山運輸支局にも講師派遣の形で協力を要請。域内の運送18社に加え、石灰メーカー21社などからも35人が出席した。
あいさつのなかで林田氏は「トラックは物流の基幹を担っているものの、長時間で不規則、深夜といった厳しい勤務の割に、ドライバーの賃金は全産業で下から2番目」と、若年労働力が確保できない実情を指摘。一方で、「社会や行政からは高いレベルのコンプラインスを求められ、守られない場合には事業停止などの深刻な行政処分が出されている」という現状にも言及した。
約款改正にともなう運賃・料金の変更届けなどの手続きが依然として低調ななか、荷主企業を集めて改正に至った経緯や趣旨を説明する場を設ける例は現時点で全国的に多くない。今月9日の時点で54・8%(614者)が手続きを済ませている岡山は「全国でも優秀なほう」との見方もあるが、そのうちの169者(27・5%)は旧約款の継続使用を選択しているという点は全国共通の傾向。2種類の約款が混在することで、同日のように荷主へ「荷待ちの解消」「待機時間料の収受」をアピールする場を作ろうという機運が高まらないのかもしれない。
説明会の前半は岡ト協の井内正明事務局長が講師となり、ドライバー不足の深刻さを強調。続いて登壇した岡山運輸支局の増村健太運輸企画専門官は改正約款が施行した背景や、主な改正ポイントなどについて解説した。
なかでも重要な部分として「運賃はA地点からB地点への移動についての対価であり、付帯作業料は含まれない」とする一方、「ひとまとめにされていた車両留置料を待機時間料、積み込み料、取卸料に3区分されることになった」と説明。そのうえで「輸送の安全確保には適正な運賃の収受が不可欠」「運送会社から要請があったときは協力をお願いしたい」と、新しい荷主勧告制度も大まかに説明しながら出席者の理解と協力を促した。
参加したトラック事業の若手経営者は「少し弱い印象も受けたが、各社が個別に動く際の土台になるという意味では評価できる」と話したが、約款を生かすも殺すも事業者次第なのは確かだ。説明会が終わり、会場を後にする運送関係者からは「同様の会合が各地で全産業的に広がれば…と期待したい」との声も聞かれた。
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