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    運送事業者も荷主? 勧告制度に戸惑いも

    2018年3月8日

     
     
     

     「トラック事業者も荷主」と運輸当局が判断するなら、貨物運送業界の所管省庁はどこなのか——そう考えてしまう実態が少なくとも、昨年7月に新制度が施行した荷主勧告の内容から見て取れる。創設時から一切の発動実績がないことで行政批判につながることもあった荷主勧告だが、その背景にはトラック事業者が〝荷主を売る〟という流れが前提として必要だったことがある。しかし、新制度の運用によって、勧告に比べれば大幅に軽い印象となるものの、各地で協力要請書がバンバン発出されている。ただ、それを受け取った〝荷主〟の多くはトラック事業者や取扱専業者というのが実情だ。

     勧告制度は勧告に至る前に警告、その手前に協力要請がある。勧告と警告は「トラック事業者に行政処分を行う場合の荷主への措置」なのに対し、協力要請は「荷主への早期の働きかけ」と定義され、行政当局者も「処分ありきだった従来の仕組みを改め、早い段階で協力要請を発出できるように変わった点が大きい」(監査担当)と説明する。

     そもそも荷主勧告は、トラック事業者による過積載運行や過労運転などの違反行為の背後に荷主の関与が認められた場合、国交大臣の権限で再発防止のための措置を取るように勧告するもの。ただ、前述したように〝荷主を売る〟トラック事業者がいるはずはなく、行政サイドでも「荷主関与の判断基準が不明確」としてきたことに加え、通達に基づく措置である警告や協力要請についても「トラック事業者への行政処分が前提となるために早期の働きかけができない」という事情があった。

     一方、運輸当局が「行政処分を待たずに早期に対応できる」としている新制度だが、本紙が得た情報からは疑問も浮かぶ。労働時間の違反で重大な行政処分を受けるトラック事業者が全国で相次いでいるが、協力要請書を受け取ったという荷主によれば「届いた文書の日付は(トラック事業者の)行政処分の開始日だった」(A社社長)と説明。荷主に協力要請書を送付することは行政処分を受けるトラック事業者にも事前に通知されるが、その日付も処分開始の直前という流れになっており、当局が説明する「早期の対応」とはいえない現状もある。ちなみにA社はトラック事業者であり、同様に協力要請書を受け取った数十社のうちの約半数がトラック運送もしくは、取扱専業者という顔ぶれだった。

     さらに、A社社長によれば「うちは最終の傭車元の立場であり、上には何社かの同業者が絡んでいるものの、そこには協力要請書は届いていないようだ」と打ち明ける。これについては運輸行政の窓口担当官も「いわゆる真荷主から何社(の運送会社)を経て最終のトラック事業者に仕事が依頼されたかを把握することは難しい」と話し、協力要請書を送る先が大元と、最終の傭車元に限定される事情を説明する。

     さらに担当官の話で再確認できたのが、新しい勧告制度と同じ昨年7月に始まった「車両総重量8㌧以上または、最大積載量5㌧以上のトラックの乗務記録に待機時間を記録」という新ルールが荷主勧告に反映されている点。確かに、待機時間の記録を義務化する際に国交省は「荷待ち時間を生じさせている荷主に勧告などを行う判断材料とする」と明示しており、それに従って厳正に運用されていることになる。ただ、実運送の現場では記録方法や、「正確に記しているドライバーが、どれほどいるのか」という部分で疑問を呈する声も少なくない。とはいえ、そのデータが荷主勧告の材料として反映されるのであれば今後、トラック事業者とすればドライバーに確実な記録を徹底する必要もある。

     製造や小売りなどの真荷主が国交省から協力要請書を受け取るのとは異なり、荷主と見なされて要請書を手にしたトラック事業者のなかには「うちで改善できる問題ではないのに所管の行政に目を付けられ、いい気分であるわけがない」という憤りや、驚いて行政当局へ問い合わせるという光景も見られる。ある最終傭車元の幹部によれば「調査でウチの名前を出したとは思わないが、もう(処分事業者を)使うことは難しいかもしれない」と話す。トラック事業の同業者に向けた〝荷主〟勧告制度が結果としてピンはね、丸投げの連続という多層構造の弊害を解消する可能性もあるが、場合によっては再起をめざす事業者の息の根を止めかねない現実に「実績を求める、発動ありきの制度改正ではないのか」と揶揄する声も聞かれる。

     
     
     
     
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