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物流ニュース
協力会社・パートナーと共に 働きやすい環境を ヤマト運輸
2018年3月12日
現在、各業界で働き方改革が進められており、物流業界も例外ではない。長時間労働対策や効率化など、新たな環境に適応した体制づくりが求められている。ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)も働き方改革を最優先課題とし、労働環境の整備に取り組んでいるが、同社ベースオペレーション部の矢吹興輔プロジェクトマネジャーは「我々も、協力会社の皆様とのパートナー意識を強く持っている。全国のネットワークを意識すると、パートナー企業の存在は必要不可欠。働き方改革は、自社だけでなく、共に協力会社の働き方を変えることで、業界の労働環境改善や採用力・競争力の強化となれば」と話す。今回は、こうした業界全体での働き方改革を目指す同社が、どのような取り組みを行っているのか、幹線輸送における協力体制など聞くことができた。
同社では現在、宅配荷物などを一定量まとめて移動させ、そのままトラックに積み込むことができる「ロールボックスパレット」を活用している。トラックへのバラ積みをなくすことで、協力会社も荷待ち時間がほぼなく、ドライバーの肉体的負担を大幅に削減することが可能となり、加えて走行時間の確保にも貢献している。
さらに昨年には、総合物流ターミナル「関西ゲートウェイ」が開所した。これにより東名大の主要な都市間をつながり、スピーディーかつ高効率な輸送ネットワークで結ばれた。こうした拠点配置により、従来とは異なる走行時間での運行が可能となった。
具体例を聞くと、矢吹マネジャーは「従来では、出発したドライバーが帰ってくるまでに休息時間を含め、3日運行となることもあった」とし、「ゲートウェイの高度な仕分け機能を活用し、ネットワークを組み替えることで、例えば、東京から大阪間の長距離運行であっても、中部ゲートウェイを介することで当日、帰宅することができる」としている。
また近年、実証実験が始まったダブル連結トラックの活用についても「ダブル連結トラックは、労働人口が減少する中、1人当たりの輸送量を増やすための戦略の一つとして注目している。現在の実証実験も将来に向けての第一歩。自社の貨物だけではなく、他社のトレーラも連結させるような業界全体での協力体制を構想中」としている。さらに「すでに域内配送では、区域の物流企業と共同輸送も行っており、自社だけでなく業界全体の効率化が重要だと考えている」と話す。
ヤマト運輸では、こうした他社との連携を構想しつつ、協力会社のドライバーが、それぞれの車庫へ戻る距離を考慮した配車など、パートナーとして共に働きやすい環境を作れるよう、各現場で調整を行っている。
矢吹マネジャーは「これからもパートナーの皆様と一緒に連携していけるような仕組みづくりに積極的に取り組んでいきたい。いずれ国内全体の輸送力が衰えてくるとの予想もあるが、業界全体で、それを向上させていきたい。その中でもヤマト運輸が率先して課題の解決を行っていければ」とし、「社員・パートナーの境を極力なくし、一体感を持って共存していきたい」と話した。
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